本日は、医学生、研修医の方向けに、医師(勤務医)の給料について一般的なお話をしてみたいと思います。
Contents
専門医を取得した頃から、給料は増えなくなる
医師の給料体系について、明確に言えることは、「組織は年功序列の体制だけれども、医師の給料は、年齢とはあまり関係がなく、ほぼフラット」だということです。給料がプラトーに達するのが、だいたい専門医取得のタイミングです。
むしろ急性期病院だと、管理職のベテラン医師には時間外手当が支給されず、当直も免除されるため、給料が安くなってしまい、中堅でバリバリ当直をこなしている医師の方が給料が高いこともあります。
給料は所属している診療科毎でもほとんど変わらない
意外かもしれませんが、公的病院においては、基本給は診療科ごとで差がありません。基本給が極端に低く、時間外手当がつけ放題の急性期病院であれば、忙しい診療科と定時で帰宅する診療科で差ができることはありえます。しかし、一般的な急性期病院では、時間外手当の上限があるため、忙しい診療科の医師と、定時で帰宅できる診療科でそれほど給料に差はありません。
給料に一番差が出るのが、所属している病院の属性
勤務医の給料に一番大きく影響するのが病院の属性です。一般的には中小規模の私立病院が最も高く、公的病院、大学病院となるにつれ低くなります。私立病院においては、過去の診療実績に応じた年俸制の病院も多く、売上をあげている医師は、それ相応の年俸をもらうことができます(ただし、私立病院であっても、公的病院と同じように診療科ごとに差をつけていない病院もたくさんあります)。逆に、公的病院(特に急性期病院)や大学病院の給料は、安いことが多いですね。
次に差が出るのが、アルバイトの回数
医師のアルバイトというのは、時給単価が非常に高いため、給料に差がでます。大学病院で働く、大学院生(ほとんどが医学博士取得のために2〜4年間大学病院で働く)は、大学病院では無休で働いていることがしばしばありますが、研究時間以外はフリーな時間が多く、アルバイトに週2〜3回行くことで、かなりの報酬を得ることが可能です(ただし、時給の悪いアルバイトばかりに行かされるのであれば話は別)。逆に公的病院(急性期)に勤務していて、病院からアルバイトを禁止されており、時間外手当にも上限があるケースが、年齢が何歳であったとしても、給料はかなり安くなってしまいます。
医師全般に言えることとして退職金が少ない
医師は、若い頃から転勤が多く、勤務先の病院が固定されるのは、40歳代であることがほとんどです(所属する医局によっては、50代で転勤させられることもあります)。そのため、一般には退職金が少なくなるのが特徴と言えます。特に、40代で開業するケースであれば、退職金はほとんど期待しないほうが良いでしょう。
まとめ
医師のやりがいというのは、給料だけで決まるわけではありません。下積み時代であれば、目の前の給料を手に入れるよりも、臨床家としてのスキルアップが優先される時期も当然あります。