皆さんは『五輪の書』ってご存知ですか?剣豪の宮本むさしが17世紀に著した、剣術と兵法についての書物です。剣の達人が書いた戦い方の本ですが、その内容は剣術に限らず現代のビジネスや人生にも通じる知恵が詰まっているのです。時代や環境は違えど、「もし宮本むさしがビジネスパーソンだったら?」と想像するとワクワクしませんか?『五輪の書』のエッセンスをゆるくまとめ、特にむさしの戦術論にフォーカスして、それを現代のビジネス戦略にどう応用できるかを具体例とともに紹介します。
まず『五輪の書』は、密教の五大元素になぞらえて「地、水、火、風、空」の五つの巻に分かれています。それぞれの巻でむさしは戦い方や心構えの極意を説き、最後の「空の巻」では少し哲学的な境地まで語っています。では、地、水、火、風、空の順に、その内容をざっくり見ていきましょう!
2.地の巻:基盤を固め、まず自分を鍛える
「地の巻」は最初の章で、いわば戦いの土台作りについて書かれています。家を建てるなら基礎が大事ですよね。それと同じで、むさしは兵法の道(戦いの哲学)を極めるには土台となる心構えや基本をしっかり固めるべきだと説きます。むさしいわく、兵法とは「心身を鍛え、己の生き方を確立すること」。まずは自分自身をしっかり鍛錬し、ブレない芯を持つことが大切なんですね。
むさしは地の巻で強調する心構えとして、例えば次のようなポイントを挙げています
正義を貫くこと。自分の信じる正しい道を守ること。
常に謙虚であること。おごらず素直な姿勢で学ぶこと。
常に学び、常に鍛錬すること。現状に満足せず、心も体も日々磨き続けること。
剣術の達人であるむさしですが、「強くなるには人間としての成長が不可欠だよ」というメッセージが伝わってきますね。
3.水の巻:柔軟に流れ、状況に適応する
「水の巻」では、むさしの二刀流の剣術スタイルの基本や具体的な戦い方が述べられています。水は器に応じて形を変えるもの。むさしは水の性質をヒントに、「形にとらわれず変化自在」であることの大切さを説いています。剣術の具体的な話としては、「呼吸」「目のつけ方」「足さばき・刀さばき」など基本技術が語られますが、それ以上に相手に応じて自分の動きを変える柔軟性が強調されています。
水の巻の教えを現代に当てはめると、環境の変化に柔軟に適応することがテーマになります。ビジネスの世界は日進月歩で状況が変わりますよね。新しいテクノロジーが登場したり市場トレンドが変化したりする中で、頑固に昔のやり方に固執していたら取り残されてしまいます。まさに「Be water, my friend(水のようになれ)」というブルース・リーの名言がありますが、むさしもそれに通じる考え方を400年前に語っていたわけです。
4.火の巻:攻めの戦術とタイミングを制する
「火の巻」では、その名の通り戦いの炎が上がる局面、真剣勝負の場面での戦術が語られます。むさしはここで「戦いの勝敗は必ずしも力の差だけで決まらない。五分の力でも勝つ方法がある」と述べています。どういうことかというと、勝利のカギは相手の状況や心理を見極めてそれを巧みに突くことにある、というわけです。奇策や先読みなど、頭脳と洞察力で優位に立てるぞ、と言っているんですね。
火の巻から学べるポイントをまとめると:
先手必勝(主導権を握る):むさしは「先を制す」つまり先手を取ることの重要性を説きました。現代でも、新市場への参入でも新製品開発でも、先行者利益を得るために素早い行動は重要です。
敵を知り己を知る:これは孫子の兵法でも有名な言葉ですが、むさしも同様の考えを示しています。相手の長所短所や動きを分析し、自分の強み弱みも理解することで、戦いを有利に進める策が見えてきます。
タイミングを掴む:むさしの戦術論で重要な概念が「ひょうし」、つまりリズムやタイミングです。火の巻でも「拍子に乗る」、時流を読む重要性が説かれています。剣の勝負では、一瞬の好機を逃さず斬り込むタイミングが生死を分けます。同じくビジネスでも、「いつ攻め、いつ待つか」の見極めが大事。
5.風の巻:他者から学び、自分の道を貫く
「風の巻」の「風」は風向きの風とも読みますが、ここでは「流派の風(スタイル)」を指します。むさしはこの章で他の剣術流派の戦い方を批判的に分析し、自分の流派(二天一流)の優位性を説いています。要するに、「よそのやり方の表面的なマネではダメ、自分の極めた道を持て」ということですね。しかし同時に、他者の長所短所を研究すること自体は非常に大事です。自分のやり方に固執しすぎるのではなく、いろんな流派、いろんな戦略を知った上で、自分なりのベストを追求しろ、というニュアンスに読み取れます。
現代的に解釈すると、「風の巻」は競合分析と差別化、そして自己信念の話です。むさしが他流派を研究したように、ビジネスでも他社の事例や業界のベストプラクティスを研究するのは重要ですよね。
6.空の巻:無の境地で創造性と直感を研ぎ澄ます
最後の「空の巻」は、とても短い章ですが一番哲学的な内容です。「空(くう)」は何もないという意味ですが、むさしはここで「空とは無であり、無とはあるがままである」といった表現で、悟りに近い境地について語ります。要するに、一切の執着や先入観を捨て去り、心を空っぽにすることで、かえってあらゆる可能性が見えてくるという教えです。この境地に至れば、剣術だけでなく人生のどんな局面でも勝利を収められるとむさしは締めくくっています。まさに兵法の奥義ですね。
7.まとめ:むさしの戦術論を日常へ活かそう
最後にざっとおさらいです。宮本むさし『五輪の書』の各巻に学ぶポイントは:
地の巻:基本を疎かにせず、自分を磨き続けること。土台がしっかりしていればどんな局面にも揺るがない。
水の巻:水のように柔軟に、変化に対応すること。流れを止めず学び続けることで生き残れる。
火の巻:ここぞという場面では大胆かつ賢く攻めること。先手必勝、相手を読み、タイミングを制する。
風の巻:他者の戦略から学びつつ、自分の信念とスタイルを持つこと。他人の真似ではなく自分の道を極める。
空の巻:心を無にして本質を見極め、新たな可能性を生み出すこと。執着を捨て直感と創造性を解き放つ。
400年前の剣豪の教えが、驚くほど現代のビジネス戦略や自己成長にマッチしているのは面白いですよね。現代のビジネスパーソンたちも、むさしの戦術論から学べることは多いはずです。
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