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ポルシェは地位財か?
かつての価値観
勤め人しか経験がなかった頃、私はこう考えていました。
- 労働の対価としてお金(給料)を得る
- 効率よく稼ぐためにスキルを磨き、給料を上げる
- ポルシェのような高額な買い物は地位財であり、資産形成にはマイナス
人的資本(稼ぐ力)→金融資本の増加という単純な流れですね
3つの資本の関係性
山口周さんの『人生の経営戦略』という本から、新しい視点を得ました。
重要なのは、お金の増え方は「人的資本→金融資本」という単純な構造ではないということです。実際には次のような流れになります:
人的資本(働いて稼ぐ力) → 社会資本(優秀な人とのつながり) → 金融資本(金融資産)
なぜこの順番なのか?優秀かどうかは見ただけでは分かりません。「Aさんは優秀だ」とBさんが認識して初めて、Bさんの頭の中にAさんの社会資本が蓄積されます。これを錯覚資産と呼びます。多くの人の脳内に錯覚資産が蓄積することで、様々なお金を稼ぐ仕組みと連結され、金融資本が増えるのです。
社会資本の2つのタイプ
①職場内の社会資本
- 「あの人は優秀だ」という評価を積み上げる
- ただし、転勤すると0になる(持ち出せない)
②職場外(異分野)の社会資本
- 組織の外にいる人の脳内に積み上げた評価
- 一生役立つ資産になる
注意点:社会資本を高めるには、まず人的資本を高めることが必須です。実力がない段階で優秀な経営者と会っても、新たなビジネスにつながる可能性はゼロです。
2つの働き方
パターン1:好きではないがお金を稼ぐのに有効な仕事
- 人的資本を高める → 社会資本が増える → 金融資本が増える
- 課題:仕事そのものから幸福感を得続けるのが難しい。また、金融資本から得られる幸福は逓減する(一定額を超えると幸福度は上がらない)
パターン2:趣味を通じた仕事(ポルシェ、ロードバイク、スポーツなど)
半年以上夢中になっていることは、広義の「仕事」と考えられます。
例えばポルシェの場合:
- ポルシェ購入という初期投資(経営でいう赤字を掘る段階)
- ポルシェオーナーのコミュニティで異分野の経営者と出会う
- 自分の人的資本の高さを相手に認識してもらう(錯覚資産の蓄積)
- 経営者目線だと、優秀な人は自分のビジネスに取り込みたいと考えるもの
- 相手のビジネスに参加、協力し、金融資本が増える
これは経営者が事業で稼ぐのと同じ仕組みです。
幸福度の違い
パターン1の場合:
- 人的資本の維持(職場で働く)から幸福を得続けるのが難しい
- 金融資本が増える過程では幸福を感じられるが、その効果はいずれ逓減する
パターン2の場合:
- ポルシェを所有した段階から幸福を感じる
- オーナー同士の交流でさらに幸福を感じる
- 気の合う異分野の人と新たな価値を創造し、金融資本も増え、さらに幸福を感じる
→ すべてのステップで幸福を感じられる