2025年は、生成AIが凄まじい勢いで進化した1年でした。 テキスト作成、校正、翻訳、情報検索、推論、そして画像・動画生成と、非常に広範囲の領域で飛躍的な進化を遂げました。便利になりましたし、自分が関わっている仕事が随分楽にできるようになりました。ありがたい。
ChatGPTやGeminiを使えば、英語、フランス語、中国語など、どんな言語であってもインターネット上の情報を瞬時に収集できます。さらに「Deep Research」を活用すれば、膨大な情報を整理し、わかりやすくまとめてくれます。
生成AIは、「タダで何でも調べ、文章を書き、イラストや動画まで作ってくれる人」ですね。いわゆる知的労働を代行してくれる存在と言えます。 「知的労働を、何の文句も言わずに、365日24時間タダでこなす人」が、世界中に無数に出現した年。それが2025年なのです。
これを別の職業に置き換えて考えてみましょう。 例えば、世界中に「タダで物や人を運ぶ人」が無数に出現したとしたらどうなるでしょうか。配送業者やタクシー・トラック運転手などの雇用は失われてしまうでしょう。
医師のように肉体労働と知的労働のハイブリッドな職業は、肉体労働部分が代替できないため、直ちに雇用が失われることはなさそうです。しかし、翻訳や文章校正、画像制作など、つまりPC上で制作したものを商品として報酬を得ている人にとっては、脅威です。完全に代替されてしまうリスクがあります。
失われる雇用があることは明白ですが、では「新たな雇用」が生まれるのか? この点については、個人的にはあまり雇用創出にはつながらないのではないかと考えています。
結論として、「パソコン上で完結する仕事」はこれからどんどん失われ、知的労働の多くがタダ(フリー)になる時代。そして、職を失った人に対して、新たな知的労働は創出されにくい。 そう考えると、本格的にベーシックインカムのような社会制度の導入を検討すべき段階に来ているのかもしれません。
