医師の働き方

働き方改革について思うこと2

働き方改革について思うこと

医師の働き方の特殊性
医師法第19条 (応召義務)
診療に従事する医師は、診療治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではいけない。
・正当な事由のある場合とは、医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合に限られると解される。

応召義務を果たすためには
・17時になったから、診療できませんはダメ
・昨日病院に泊まり込みで手術をしたから、今朝の急患は受けられませんはダメ
つまり、医師に対しては、その運用上「時間外労働の上限規制はできない」というのが、基本設計でした。

被雇用者を守るための制度は、たくさんありますが、「時間外労働の上限を医師には適応しない」というのは、かなり特殊な運用であったことが理解できます。
自分の周りにも
・ほとんど家に帰られずに病院の当直室に泊まり続けている産婦人科医師
・当直室で命をなくされた集中治療医師
を見かけました。

余談ですが、医師以外にも残業が常態化しており、働き方改革の対象になったのが
・建設業
・トラックドライバー
でした。
https://hatarakikatasusume.mhlw.go.jp/about.html

働き方改革で変わること
2024年4月1日から医師にも時間外労働の上限規制が設けられることが法律に定められることになりました。ついに医師にも労働時間の上限規制が導入される運びとなりました。2024年4月以降、一般のビジネスパーソンと同様、原則的な残業時間の上限が月45時間・年360時間とされます。しかし業務の特殊性を理由に、一部に例外的な措置が設けられるのが違いです。医師の時間外労働にかかる法改正の詳しい内容を確認してみましょう。
・月45時間超の上限がない
一般的な規制と異なり、月45時間を超える月の回数制限がありません。医師は臨時的な業務が発生する時季や頻度が予想しにくいことを考慮しての措置です。サラリーマンの場合、残業時間が月45時間を超える月は6回までの制限があります。
・複数月平均80時間以内の規制がない
直近2ヵ月〜6ヵ月で平均80時間以内の上限規制がないのも注意しましょう。医療は公共事業の一種と考えられ、年中無休でサービスを提供する必要があるといえます。残業時間の調整が難しい仕事のため、繁忙期等を考慮した例外の適用を受けられないのです。
・月100時間超が許される場合もある
一般的な残業規制では、臨時的に月100時間未満の範囲での残業が認められています。いかなる場合でもこの基準を超過した労働は認められません。医師の場合、面接指導を受けることで、100時間を超えて残業することが可能になります。

・年間の上限時間にA水準、B水準、C水準がある
医師に対する上限規制の大きな特徴は、残業の上限時間がレベル分けされており、A水準・B水準・C水準の3つの水準があることです。
●A水準:月100時間未満/年間960時間以下
●B水準/C水準:月100時間未満/年間1,860時間以下
すべての医療機関に勤める勤務医に適用される原則的な基準がA水準です。画一的に上記の基準を適用すると、地域差の影響や夜間時の医療体制の確保が難しくなったり、集中的な技能の習得が困難を極めたりするリスクがあります。
そこで特例水準として認められたのがB水準ならびにC水準です。B水準は地域医療暫定特例水準とも呼ばれ、救急機関や救急車の年間受け入れ台数が1,000台以上などの基準を満たした医療機関のみ対象です。
C水準は高度技能の習得や臨床研修に用いられる病院が該当します。A水準以外の適用を希望する医療機関は、都道府県に対する申し出が必要になります。

医師の立場で注目すべきは、B水準、C水準です。
ここは、ある程度の医師が過労の犠牲になったとしても、社会インフラとしての医療を提供するために死守することが必要と考えられているのでしょう。
救急車の搬入台数の多い病院、高度技能の習得や臨床研修に用いられる病院が該当します。
国民の健康を守るためには、ある程度の犠牲には目をつぶらないといけないという方針は知っておくべきかと。

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