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50代医師が考える資産形成
50代医師に最適な資産形成方法というよりは、子を持つ親目線で、少し若い世代を意識した内容になっています。
トレンドの転換
長期デフレはもはや過去の話。完全に物価高・インフレトレンドに転換した印象が強い今日このごろです。長期デフレは、公務員的な医師にとっては強烈な追い風でした。
5年ほど前なら、「投資に興味がないなら日本円をガチホ。給料の一部を銀行にどんどん貯めておけばいいんじゃね?」という考えも充分に成立しました。しかしどうやら、物価高・インフレ・円安トレンドが持続する可能性がわりと現実味を帯びてきています。
そうなると、日本円をコツコツ貯めるという戦略が完全な逆風になりそうです。
我々医師は、開業医であれ勤務医であれ、日本で保険診療を行い、日本円で給料(所得)を得ています。報酬のほとんど全てが日本円。以前はそれが大きなメリットでしたが、これから先はデメリットと認識しておいた方が良いでしょう。
株式投資的な生き方・資産形成を人生に取り入れる
すでに他界された山崎さんの資産形成に関する考え方が、これから先、医師にとっても拠り所になると思います。
読みやすい本なのでぜひ読んでほしいのですが、簡単にまとめると——
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- 株式投資的な働き方をする:日本円の給料として報酬を得るのではなく、スタートアップ企業などで働き、ストック・オプション(自社株を購入する権利)を得る。
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- 株式投資をする:それが難しい場合であっても、資産形成の中心に株式投資をおく。
概ね橘玲さんと同じような主張です。
橘玲さん・山崎さんに共通しているのは、「素人投資家にとって、NISAでオルカンが最適解」という点。その背景には、ドルコスト平均法、全世界株式への長期分散投資、手数料の安い積立という理論があります。理系出身の医師であれば理解は容易なので、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の特徴は一度おさえておきましょう。
「NISAでオルカン」の組み合わせが最強と言われる理由は、「国が認めた最も効率の良い仕組み」と「世界経済の成長」が噛み合うからです。NISAの最大のメリットは利益への非課税。株式投資で得た利益に対して通常は相応の税金がかかりますが、NISAならそれを回避できます。ダウンサイドリスクのない最強の方法です。暴落しても決して売らない——多くの素人投資家にとって、これが最適解だと思います。
株式投資は、日本円が今後価値を失っていくことへのリスクヘッジにもなります。
親目線の話
ここから先は、少し視点が変わります。
自分の子どもたちの世代は、仮に医学部に進学したとしても、我々の世代ほどのメリットは得られないと感じています。雇用が安定している公務員くらいのメリットに収束しそうな印象です。
「給料の一部をNISAで毎月オルカンに投資せよ」と子どもたちに言うのは簡単。親は一切介入しない、という考え方が正解なのかもしれません。私も以前はそのように考えていました。
ところが、『Die with Zero』を読んでから、その考えが少し変わりました。
若い年代では、体験・感動に非常に大きな価値がある。これは歳をとってから取り戻すことができない。
20代にバックパッカーとして世界を一周する。海外に留学する。自分自身、20〜30代にヨーロッパ・アジア・アメリカなどに短期留学しました。若いときに目にするもの、人との出会い——その感動は、歳をとってから取り戻すことはできません。正直、最近海外に行っても感動はほとんどありません。20万円使って海外旅行をしたとして、20代で得られる感動の価値は計り知れない。若い頃は給料の全てを体験に使うというのが、最適解だと思います。
以前の考え方だと、親が亡くなってから遺産が子どもに引き継がれることになります。しかし、親が85歳まで生きたとすると、子どもに資産が渡るのが60歳ごろ。それでは遅すぎます。まとまった遺産を受け取っても、生活の質は1mmも変わらないでしょう。
そうであるなら——子どもが成人になったら、少額でも良いので贈与しながら、子どもの口座でNISAの積立を始めておくのは良いアイデアだと思います。具体的には、生前贈与(非課税)の上限である年間110万円。オルカン&NISAは、時間が味方になる長期投資でこそメリットが最大化します。
子どもが元気に活動していることは、おじさん医師にとって何よりもうれしいことです。墓にお金は持ち込めません。人生とは、体験・感動・人との出会い・未知との遭遇——そこにこそ価値があると思っています。
