医師の今後の働き方について、知識社会化、グローバリズム、ダイバーシティ(多様性を許容する社会)を中心に説明してみたいと思います。
今後、全世界で雇用のトレンドになる動きについて
知識社会化
世界の企業活動をみていると、Winners take all(勝者総取り)というトレンドを読み取ることができます。iPhoneを開発したApple、SNSで世界の覇者となったFacebookなどをみるとわかるとおり、世界で企業が生存するためには、知識社会化労働環境で高い能力を発揮する人材の奪い合いになっています。
グローバリズム
情報については、インターネットを通じて、事実上は、中国や北朝鮮などの一部の国を除き、世界を自由に駆け巡っています。さらに、人の移動についてもLCC(格安航空会社)が一般化したこともあり、盛んに行われるようになりました。日本も、少子高齢化、生産人口の減少に対して、事実上の移民開放へ舵をとりつつあります。情報と人材が自由に国境を超える時代に突入したという事実を理解しておくべきでしょう。
ダイバーシティを許容する社会
知識社会化とグローバリズムにより、企業は全世界から優秀な人材を募集することが可能になりました。優秀な頭脳を持った人材を、世界企業が奪い合いをしている状況ともいえます。そのような貴重な人材の採用に関して、従来の日本企業が行ってきた、日本人のみ採用するといったダイバーシティ事実上全否定するような雇用体系であれば、グローバル企業とそもそも勝負になるはずがありません。グローバル企業は、全世界の中から、性別(LGBT)、年齢、人種、身体的特長(障害の有無)など無関係に、知的社会化に適応した優秀な人材を奪い合っています。
医師の世界に置き換えて考えてみると
医師の仕事は、従来は、グローバリズムの影響を受けにくいとされてきました。優秀なアメリカ人医師が、日本に来て働くためには、ライセンスの問題、移民の問題などがあったためです。しかし、今後、中国などから、優秀な医師が日本に留学してきて、在籍中に、日本の医師国家資格に合格し、そのまま日本で生活するという窓が開かれつつあります。医師の働く環境においても、グローバリズムいつまでも無縁であり続けることはできず、10年、20年というスパンで、医師の労働環境も大きく変化していくことでしょう。
また、男性医師の比率が極端に高い診療科、麻酔科フリーランス排除問題などは、現在のグローバリズム、ダイバーシティの観点からしても、世界の動きに逆行したものであり、今後行き詰まりを生じる可能性もありそうです。