医師の働き方

受験エリートが医師の出世競争に勝てるとは限らない

受験エリートの医師が病院の出世競争に勝てるとは限らない

大学病院というアカデミックポジションの中で競争に勝ち抜いて教授になる。あるいは市中病院で出世して部長あるいは院長になる。受験エリートである優秀な医師は、ライバルと競い合い、診療スキルや業績において、ライバルとの戦いに勝ち続け、トップを目指している人が多いと思います。

しかし、受験勉强でライバルに勝つことと、医師の出世競争で勝つことは、ルールが全くことなることを知っておいたほうが良いでしょう。

受験勉強:本人の実力が全て。勝ち負けの判定基準が明確

医師の出世競争:政治の世界で勝ち抜く”したたかさ”と”運”が必要

受験勉強とスポーツには共通点が多い。実力が全て。

受験勉強とスポーツには共通点が多くあります。まず、勝つためのロジックを考え、日々切磋琢磨し、大会(受験日)に最高のパフォーマンスを発揮する。そこで、一定の成績を得られたら、その結果が全てです。基本的には個人のもつ実力が、他人より優れているか劣っているかを競い合うシンプルな勝負になります。そして、決められたルールの中で競い合い、勝ち負けの判定基準も明確です。

医師の出世競争は、政治の世界で行われる。統治の理論と権力ゲームを理解せよ。

権力ゲームとは、戦国時代、三国志の世界で、その目的は、集団のなかで一番になること(国盗り)と、異なる集団のなかで自分の集団を一番にすること(天下平定)です。勝者になれる人は基本一人です。その1席をめぐって、勝者を競い合うゲームです。そのルールはスポーツのような実力至上主義とは大きく異なります。その理由が、異なる集団のなかで自分の集団を一番にする(天下平定)ためには、組織が一致団結し、トップの目指す場所に向かって突き進む必要があるためです。

組織に個人プレーは一切もとめられず、上からの命令は理屈抜きに絶対優先事項です。組織のなかで、トップの忠実なるしもべとして実力を発揮するのは良いですが、トップの座を脅かす存在になってしまうと、首をはねられる可能性もあります。トップにたつ人間の顔色をつねにうかがい、トップが自分に求める行動を心がけ、さらには運に愛されたたった一人が、教授や病院長というポストにおさまるのです。

そして、出世競争には終わりがありません。かりに教授になったとしても、今度は全国の国立大学、私立大学の教授達があつまる場所で、新たな国盗り合戦、天下平定を目指すニューゲームがスタートします。

人の集まる組織では、必ず政治の世界となり、統治の理論と権力ゲームに支配されます。これは、戦国自体から今に至るまで基本構造は全く一緒です。