生産性を高める

医師の仕事にブルーオーシャン戦略を応用

新版 ブルーオーシャン戦略から、医師の働き方を見直す

競争を戦略思考の中心に据えるべきではない。

従来であれば、企業はライバルよりも、価格が安く、すぐれた性能をもつ商品やサービスを開発することを目標としていました。しかし、そのような戦い方では、競合と似たような商品ばかりになり、最後はお互いに価格を下げ合う消耗戦に突入することになります。そのような血で血を洗う場所をレッドオーシャンと呼びます。

レッドオーシャンに対して、ブルーオーシャンとは競争を必要としない世界です。その世界で収益を上げる企業や個人は、競争とは無縁で、価格の決定権を持つことが可能になります。

バリューイノベーションの重要性

「イノベーション=技術革新」という先入観があります。しかし、それらの大部分はたいした成果を得られないまま数年で消えていくことになります。本質的に求められているのは、技術革新ではなく、顧客の価値づくり。バリューイノベーションなのです。顧客に新たな価値を提供し、新しい市場を切り開くことこそ真の改革といえます。

ポイントは、既存業界で一般に重視される価値要素の「何かを取り除く・減らす」「何かを付け加える・増やす」こと。もう一つは市場の境界を引き直すアプローチ。既存のビジネスの枠組みを変えることが重要といえます。

ここで、個人がブルーオーシャンで活躍するためにはどのように行動したら良いのでしょうか?キーワードは、横に展開することで、市場の境界を引き直し、バリューイノベーションを起こすことです。例えば、病院の中で医師として働くというのは、古い業界の中で、従来の働き方を踏襲することになります。しかし、医師が縦(医療)ではなく、横(たとえばアイスクリーム業界)に展開して、アイスクリーム業界とコラボレーションしたら何ができるでしょうか?糖尿病患者さんが食べても血糖値の上昇を抑えるアイスクリームの開発であったり、入院中の薬嫌いの子供にアイスと薬を混ぜて美味しく食べられるサービスを提供するなど、全く新しい展開がみえてきます。これは、一例ですが、医療業界、アイスクリーム業界ともに横に展開することで、今まで考えもしなかった新しい領域(市場の境界を引き直す作業)が生まれます。そここそが、まだだれもライバルのいないブルー・オーシャンとなるのです。

ブルーオーシャン戦略で重視されるのは既存顧客ではなく、その周辺にある潜在顧客市場を切り開くことも可能になります。先程の糖尿病患者さん向けにアイスクリームを開発することで、アイスクリームを食べることを生活から除外していた患者さんがあらたな顧客となります。

横のつながりで、従来コラボレーションとは無縁と思われていた業界の人達(サラリーマンより自営業者がオススメ)と交流して、業界の線引を変更して新しい業界を自分たちで作ってしまう。そうして、閉塞した業界から抜け出し、顧客に対して新たな価値を想像することがバリューイノベーションとなるのです。