組織内で出世を目指す場合に知っておくべきこと
まず、一番重要なことが、医師が組織内(大学病院もしくは大規模な公的病院)で出世を目指すなら、組織の人員構成がピラミッド型になっていること。これをいつも忘れてはいけません。
年をとるに従って、足場の面積が小さくなる
赤線の部分が組織内で生き残った人たちです。20代は足場が広く、ほとんどすべての医師に活躍の場がありますが、50代になるとずいぶん足場の面積が小さくなっていることがわかります。組織内部の人事は、実力主義ではありませんから、実力があれば、この狭い足場に残れるわけではありません。上司の評価や好き嫌い、運の要素も非常に大きく影響します。
ピラミッドの頂点にのぼりつめたあと
もう一つ、組織の出世コースについて理解しておくべきこととして、組織の内部でトップの座を勝ち取った後は、さらに上位のカテゴリーのピラミッドの最下層に入るということです。
大学の医局の中で最上位出世コースである教授になったとしても、全国の教授達が集まるピラミッドの中では、最下層からニューゲームがスタートです。基本的に組織内部での出世競争に終わりはありません。一生出世競争を続けることになり、つねに足場は狭くなり続けるため、その足場を踏み外すと出世レースからは脱落してしまいます。
出世競争からいつ身を引くかは自分では決められない
出世競争に勝ち残った教授ですら、最後は定年退職というゴールを迎えて、ピラミッドの外で生活することになります。つまり、40〜65歳の間に、競争を続けていた人たちも、勝ち続けた人たちも、いずれかのタイミングで、全員が組織のピラミッドから退場して、第二の人生を歩み始めるのです。問題は、ピラミッドの足場が狭くなり、出世競争からいつ脱落するのかが、自分では決められないことだと思います。出世競争から脱落してしまうと、それまでに描いていたキャリアとは大きく異なる環境でイチから再スタートしなければなりません。