医師の働き方

安く買い叩かれない医師の働き方

希少で人の役に立つものが高い価値をもつ

資本主義の世界で高い価値を持つもの。それは、希少で人の役に立つものです。
例えば、「世の中に10人分しかない毛生え薬」を自分が持っていたとします。
この毛生え薬を頭皮にぬれば、10年以上髪がフサフサ。

そのような毛生え薬であれば、イニエスタだと1本500万円くらい出してくれるかもしれませんね。

しかし、役に立つだけでは、価値を維持できません。
たとえばハサミ。ハサミがないと困りますが、世の中にハサミは有り余っており、100円ショップで購入することもできます。
役に立つけれども、世の中に有り余っているものは、コモディティと呼ばれ、その価値は限界まで下がり続けます。

医師とコモディティ

都心部では、検診バイトなど、医師免許があれば誰でもできる仕事の価格が下がり続けているそうです。
医師を必要とする職場に対して、医師の数が過剰になると、まず最初に医師であればだれでもできる仕事の価格が下ることは理解しやすいですね。
今後日本の人口はものすごいスピードで減少していきます。
若者の数だけでなく、(病院を利用する機会の多い)お年寄りの数も減ります。
でも、医師の数は増え続けていくことが予想されます。

医師過剰時代に備えよ勤務医をしていると、人手不足の診療科にとっては、「医師の数が常に足りない」という声が聞こえてきます。特定の地区、診療科においては、そうだ...

そう遠くない未来に、コモディティ化した医師の労働価値は、損益分岐点を下回ることが想定されます。

次に価格がさがるのが、冒頭に紹介したフランケンのTwitterにあるとおり、「定義できる仕事」でしょう。
例えば、自分は難易度の高い手術ができるから安心。とはいえません。
大学病院などでは、日々難易度の高い手術が行われていますが、必ず世代交代がなされます。
50歳の外科医が執刀している手術というのは、各大学病院でほぼ同じです。
そうであれば、その仕事は定義できる仕事になります。
50歳の外科医は職場を去り、部下である40歳の外科医がそのポジションを手に入れる。
40歳の外科医のポジションは30歳の外科医が手に入れる。

人から定義される仕事は、本人が思っているほど高い価値を持たない。ということは知っておくほうが良いです。

労働者とは、すなわち乾電池である。 労働者はビジネスユニットを回すための乾電池 企業にとって、労働者とは電池にすぎない。基本的に企業では仕事というものが「ユニット...

人から定義されない働き方とは?

自分はたくさんの医師と交流がある。という人も多いでしょう。
でも、その医師たちは、みんな同じ属性ではないでしょうか?
勤務医以外の知り合いはいますか?日本人以外の医師の知り合いはいますか?1週間に1日しか働かない医師の知り合いはいますか?

実は、自分の周囲の医師たちが、全員専門医を取得していて、勤務医で、急性期病院で働いているといった、似通った働き方をしている人ばかりであったります。
たくさんの知り合いがいることと、それらの人物が多様性を持っていることは別問題です。

世の中には、勤務医のルールもあれば、開業医のルールもあります。
1週間に1日しか働かない医師は、その医師しか気づいていない世の中のルールをしっていたりします。

人から定義されない働き方をするためには、レアキャラと呼ばれるような特殊な働き方をしている医師と交流をもち、その人と同じ視点で世界を眺めることが有効です。
私達がみる世界と、目が見えない人が認知している世界は違います。
同じように、自分の視点とは全く別の視点を手に入れることが、生き方の幅を広げます。

そのようにして、多くの医師が気づいていない、特殊なルールをたくさん知ることが大切です。
そして、その特殊なルールの中から、いくつか自分の生き方に応用できるものを実際に使ってみる。
それを繰り返していくと、「あの人は、その他大勢とは何かが違う」と呼ばれるような不思議な人になれます。
それこそが、定義されない働き方の入り口になるのです。

人から定義されない働き方については、いまだ金時ラジオに収録していますので、興味がある方は聴いてみてください。