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世界を隔てる垣根が低くなった
サッカーのワールドカップで、中国とスペインが試合をする。
これって、1000年前にはありえないことでした。
世界中の国々が、サッカーという共通のルールの元で試合をする。
そもそもワールドカップの本戦までに、各国の試合スケジュールを調整したり、世界中を横断する組織化も必要だ。
サッカーやオリンピックという世界中の国々が参加して、共通のルールの元で試合をできるようになったというのはグローバル化の恩恵だろう。
世界を隔てる垣根はどんどん低くなっている。
複雑系スモールワールド
COVID-19(新型コロナウイルス)やリーマン・ブラザーズ破綻からの世界同時金融危機といったブラックスワン(めったにおこらないけど破壊的な被害をおよぼすこと)が、結構頻繁に起こるようになった。少なくとも100年に1回という頻度ではない。
身長10mの人間はおそらく過去存在しなかっただろう。これは、人間の身長が正規分布(ベルカーブ)しているからだ。
でも、グローバル社会において、世界中の人と人が頻繁に相互作用をおよぼすようになると、「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を引き起こす」ようなイベントがときにおこる。
ブラック・スワンというイベントは、正規分布ではなく、べき分布(ロングテール)に生じる。恐竜のしっぽ(べき分布)はいつまでもゼロにならず、ファットテールの場合、壊滅的なイベントがわりと頻繁に生じることになる。
世界中の人々が相互作用をおよぼすようになると、ブラックスワンがわりと頻繁に起こるようになる。世界は意外と小さいのだ。
格差の縮小
グローバル社会は、格差を助長する!けしからん。
という論調があるけれども、ファクトベースで言えば、世界の格差はどんどん少なくなっている。
世界は分断されており、先進国と発展途上国の間には、超えられない格差があるというのは大きな誤解のようだ。
世界は、高所得の国と低所得の国に分断されているわけではなく、世界の人口の75%は中所得の国に住んでる。
グローバル化によって、日本のような先進国が高所得の国で、圧倒的大多数が低所得の国というのは完全な間違いで、いまや日本と同じような所得の国は世界中に存在している。グローバル化によって、先進国においては、中流階級の消失というイベントが起こっている。先進国も発展途上国も所得の格差が少なくなるということは、先進国の中流階級が没落することとイコールなのである(そのかわりに多くの発展途上国の所得が向上したともいえる)。