医師のキャリアに世界一周という選択肢を

医師の人生に”世界一周”という探求者のステージを持つ意義

あざらし君
あざらし君
若手医師の間で、世界一周がブームになってるみたいだよ
博士
博士
人生100年時代。
マルチステージの人生の中で、
医師のキャリアと”世界一周”というのは、
非常に相性が良いと思う。
ライフ・シフトという本を使って説明しよう。

人生は3ステージからマルチステージへ

人生が短かった時代は、「教育→仕事→引退」という古い3ステージの生き方で問題がありませんでした。しかし、人生100年時代においては、3ステージの人生を長く引き伸ばすだけでは、よい人生を送ることは難しそうです。70代、80代まで働くようになれば、手持ちの知識に磨きをかけるだけでは最後まで生産性を保つことはできません。時間を確保して、学び直しとスキルの再習得に投資する必要があるのです。3ステージの生き方のキーワードは安定・同質・従順です。しかし、長寿時代には、生きている間に、いくつものテクノロジーの進化を経験するため、不確実性に対処することが避けて通れません。
そして、キャリアにおいても、多様性があたりまえとなり、同年代の人たちが同時に同じキャリアの選択をおこなうという常識は過去のものになっていきます。
3ステージの人生の縛りから自由になり、もっと柔軟に、もっと自分らしい生き方を選ぶ道が選べる時代になりました。仕事を長期間中断したり、転身を重ねたりしながら、生涯を通じてさまざまなキャリアを経験することが可能です。
人生100年時代のキーワードは、マルチステージの人生です。従来の、教育→仕事→引退というステージに加えて、様々なステージを経由するようになるでしょう。マルチステージの人生を生きるためには、これまで若者の特徴とされていた性質を、生涯通じて保ち続けなくてはなりません。その要素とは、若さと柔軟性、遊びと即興、未知の活動に前向きな姿勢です。

時代とともに必要とされる職業、スキルは変化していく

スキルの価値が瞬く間に変わる時代を私達は生きています。1910年、アメリカの働き手の3人に1人は、農家もしくは農業労働者でした。今日、これらの職に就く人は全体の1%にすぎません。農業は、1869年にはアメリカのGDPの40%近くを占めていましたが、この割合は2013年には1%まで落ち込みました。その原因は、農業機械や肥料などのテクノロジーの進歩にあります。

同じ働き方を続けていると次第に消耗していく

日々のノルマをこなすことに追われていると、成長したり、新しいことを学んだりする時間は、ほとんどなくなります。スキルと知識が次第に枯れていくのです。過酷な長時間労働を続け、金銭的資産を蓄えるために奮闘する日々を長く送っていると、活力などの資産が底をついてしまいます。活力資産が底をついたとき、人々はエネルギーを再充填したいという単純な動機に基づく移行期間を求め始めるのです。これが、医師のキャリアにとても非常に重要なキーワードとなる、エクスプローラー(探求者)のステージの出現です。

エクスプローラー(探求者)のステージ

活力資産を、再充填するために、必要なのがエクスプローラー(探求者)というステージです。これは、旧来の3ステージの人生にはなかったものです。マルチステージの人生におけるキーワードとなるでしょう。それまで継続してきたキャリアを一度中断して、世界一周旅行にでかける。まさにエクスプローラーのステージを駆け抜ける人達にとって、理想的な行動です。エクスプローラーたちは、世界一周旅行中に、自分という存在の境界を押し広げ、固定観念から脱却し、ほかの人たちの行動をじっくり見ます。長く生きる時代には、自分と相性のいいものを見いだす資質がきわめて重要になります。選択肢を持つこと、自分と相性のいいものを選ぶこと、そして自分のアイデンティティを意識することも大切です。
エクスプローラー(探求者)のステージと聞いて思い浮かぶのは、興奮、好奇心、冒険、探査、不安といった要素です。エクスプローラーは、一カ所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に、そして俊敏に動き続けます。身軽でいるために、金銭面の制約は最小限に抑える必要があります。このエクスプローラーのステージは発見の日々であり、世界中を旅をすることにより世界について新しい発見をし、あわせて自分についても新しい発見をするのです。

まとめ

今回の記事は、リンダ・グラットンの著書である、LIFE SHIFT(ライフ・シフト)という本を参考に記事を書きました。読み応えのある本なので、興味ある方はぜひ。