医師の働き方が今後大きく変わる
一部の医師が過労死ラインで働き続けていることが問題視されています。働き方改革でも、事実上黙認という方向になりそうな流れのようです。過労死ラインで働く医師といえば、地方都市、過疎地に勤務する全ての医師(特に産婦人科医)、急性期病院の心臓血管外科医などが筆頭にあげられるでしょう。
医師の数を増やしても問題は解決しない
医師が足りないことが原因であるなら、単純に医師数を増やせば良いという意見がでると思いますが、問題はそう単純ではありません。増やした医師が、地方都市やハードな心臓血管外科医になってくれるなら良いですが、そうはなりません。おそらく、ホワイトな診療科、働き場所にさらに医師が増えるだけでしょう。もちろん、ホワイトな診療科が人であふれたら、一定数の医師が、もう少しハードな診療科に鞍替えする可能性はありますが、間違っても、ブラックな環境の診療科、地方都市にすすむことはないでしょう。
医師の働き方を最優先にするなら病院の集約化
過労死ラインの医師を守る立場で、働き方を考えるのであれば、急性期病院の集約化しか方法はありません。産婦人科医師が、2名しかいない病院は廃業にして、それらの医師をもう少し大きな近隣都市に集めます。そこに患者さんを搬送するというのが合理的な判断でしょう。しかし、これはほぼ絵に描いた餅で、実現性はありません。
問題は、地方都市の病院に雇用されいてる事務系職員、医師以外の医療スタッフなどが職を失う可能性が高いからです。病院の統廃合は、ポジションの奪い合いでもあります。病院長、事務長、看護師長、技師長などは、病院の統廃合と同時に今のポジションを失う可能性があります。病院の統廃合の意思決定をできるポジションにいる人が、自分の職を失う覚悟で大きな決断をすることはほぼありえないでしょう。おそらく全力で反対するはずです。
医師にできることは、各自で出口戦略を考えておくこと
このような構造的な問題があり、職場環境が改善することを神頼みしたとしても、おそらく本質的な部分は何もかわらないと思います。そうであれば、全ての勤務医が、自分の出口戦略について普段から考えておくことが重要になると思います。脱出用ボートはどこかで役に立つことでしょう。
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