いまだ金時ラジオ

いまだ金時ラジオ 第1回 「時間を大事にする」という言葉の意味

博士
博士
初の試み。対談をしている二人は、1000km以上離れた場所にいます(笑)。いまだ金時ラジオ。よろしくお願いします!
フランケン
フランケン
よろしくお願いします。

テーマ 「時間を大事にする」という言葉の意味

主題1 金と時間について


金か時間か?という議論は僕にとってナンセンスだ。
「時間があって金がない」
「金があって時間がない」
ていう命題って、よく議論されるけど、ここでいう「無い」って、それほど極端な意味で使われてない。

どっちも「どちらも定年までは何かの仕事をやって、年老いて死ぬ」みたいなゆるい人生観が前提になっている。

金がないといっても四畳一間でカップラーメン程度の生活、
時間がないといっても仕事が激務で寝る暇もないという程度。

実にヌルい。
「金があっても時間がない」っていうのは心停止直前の資産家
時間がなくなるとは、極端にいうと、死ぬこと

そんな極端な!と思うかもしれないけど、この極端を無視すると、大きな罠にはまるよ。

職業論や資産形成、人生設計を論じる時に、この大原則は無視される。
まるで百まで生きるかのような議論をする。

でもね、人は突然死ぬことがある。
その時にね、こんなはずでは!とか、やりのこしたことが!
とか思っちゃうと、死んでも死にきれない。

たとえば、みんな人生をがんばって生きてる。
それはみんなそう。

でも、頑張り方がおかしな方にいくと、危ない。

何のために今頑張るのかって聞くと、
「将来のために」と答えが返ってくることが多い。
そりゃそうだ。

将来のために今を我慢するという戦略は正しい。
でも、バランス感覚を持たないとおかしなことになる。

過度に「今の時間」を軽視すると、
来るかどうかわかんない「将来」とやらのために
「今」を投資し続ける人生になっちゃう。

この「投資」っていう考え方は、実は危うい。

人生を「投資」と捉える限り、どこかで回収しなければいけない。
もし、回収に失敗すると後悔する。

僕の持論だけど、
時間は投資と考えてはいけない。

時間は消費財。その場で使わないと、無くなっちゃう。
どのように使うか、その都度決めていかないとダメ。

アイスが何本かあって、どれを食べようか?
迷っているうちにどんどん溶けちゃう。そんな感じ。

貯蓄はできない。貯めておけない。

投資しても増えない

ナマモノ。

今、美味しく食べないと腐ってしまう。

何も刹那的に生きろ、と言っているわけじゃない。

「未来のために」だろうが「今がよければ」じゃない。
この違いは、使い方の違い。
いうなれば、バランス感覚の違い。

未来のための時間の使い方は意識しないと、将来に何も残らない。
でも、明確な人生の目標とやらを遠い未来におきすぎて、禁欲的に生きると、プランが狂ったときに後悔しかない。

山登り。
登頂できなければ失敗か?
途中下山も楽しいハイキング。

なんでこんなことを強調するのかっていうと、
使い方を間違っていたと実感するのは、過去を振り返る時だから。
そして、そういう時には、たいてい取り返しのつかない局面に追い込まれてる。

僕は2年ほど前、とある病気で死にかけた。

このチャプターの最初で話題にした、「時間が無い」、になりかけた経験があったんですよ。別に金は無かったんですけどね。

このチャプターのキーワード
1「時間は投資と考えてはいけない」
2「時間は消費財、生もの」

主題2 僕は死にかけた

死にかけたことある?
これはズルい問いかけなんだけど、この経験は個人の人生観をガラッと変えてしまう

僕は控え目に言ってもワーカホリックの典型だった。

座右の銘は「ライバルは昨日サボらなかった自分」
目覚めると「時間を浪費した」

今かんがえると、完全におかしい!

当時の僕にとって、

世の中は「やりたい仕事」と「やらなくてはならない仕事」

「僕にしか出来ない」と思っていたものもおおかった。
人としての義務でもあると思った。

それらの仕事をやっつけてから、やりたい仕事に手をつける。

毎日夜中の3時位に寝ていた。

一昨日、その当時の後輩に会ったんだけども、先生は当時完全なショートスリーパーってやつでしたよね、って言われた。
いつ寝てるんだ、って、寝てない。

仕事は雪だるま式に増えていくし、
レバーアームもどんどん伸びていく、
できることもやりたいことも、無限に増えていく。

夢の中で書いた原稿が目覚めると無い!がっかり。
でも、内容は覚えてるので書き留める。
夢の中で新しいプロジェクトを始めたり、致命的な事故に会ったりする。
初めて会う人に、どこかで会ったことがある気がする。

そんな生き方を10年ほど続けたところ、見事に倒れた。

0泊2日で広島出張。
金曜の手術終わってから広島に入って、共同研究の実験を12時までやって、
朝まで飲んで、そのまま朝の飛行機に乗って帰る。

睡眠時間は1時間。
目が覚めた瞬間に、苦しくなって、心臓がきゅーとなって、
もうはっきりと止まった。

心臓が止まると、生き物としての時計が狂う。

ちょっと面白い話をすると、心臓が止まると、視界が灰色になる。
暗くなるんじゃなくて、灰色になる。色は抜けない。
赤は赤で青は青だった。

色相は維持される。なるほど、色相ではなくこちらに「彩度」と対訳をつけた日本人はセンスがあるな、などとどうでもいいことを思った。

後に知ったがこの感覚は万国共通のようで、彩度は英語で「colorfulness」の他に「saturation」という。SpO2が下がると、この視覚パラメータが下がる。

そんな感じでも飛行機に乗って、
気圧が下がると心不全が悪化するから超苦しい。
自宅に帰って、一日休んで、
翌日また出張に行って、帰りの車でまた具合が悪くなって、
動けなくなってそのまま救急車。

このチャプターのキーワード。

1「ライバルは昨日サボらなかった自分」は、かっこいいけど危険。
この生き方があるから今の自分のポジションがあるのは明白なんだけど、明らかに生き急ぎ。

2彩度は英語で「colorfulness」の他に「saturation」
実感してほしいとは思わないけど、豆知識として知っていると何かの役に立つ?

主題3 死にかけて視界がひらけた


ともあれ、このイベントで文字通り視界が開けた。

まず、自分は一度死んだ。
その時に感じたことが4つある。
悪いこと2つ
イイこと2つ

1.帰ってこれなかったら、今まで投資だと思っていたものは全て無価値になっていただろう。

2.次に、今まで大事だと思っていた物事のほぼ全ては些事であった。
ほとんどの「やらなきゃいけない仕事」と思っていたものは、自分が死んだらそれまでの仕事で、やんなきゃ誰かがやるだけの仕事。
自分でなければならない、というようなものなんて、ほとんどない。

何らかのポジションや評価などのための仕事っていうのは、他人の価値観のなかで動いている仕事。
このことばっかり考えていたけれど、本当はこの仕事は人生の目的、というほどのものでは無い。

この手の仕事って、死ぬ瞬間に脳をよぎりもしなかった。

ちょっと脱線。
読んでもらいたい本。
七つの習慣。この中で、緊急性の高い、低い、重要性の高い、低い、で4象限に分けて考える話が出てくる。
ネタばれで申し訳ないけど、緊急性が高くて、重要性が高い仕事、1領域のイベントっていうのはなるべく少なくした方がいい。僕らが大事だと思っているのは、だいたいこれだ。
大事なのは2領域、重要性が高い、緊急性が低い、人生を豊かにするものとは、この領域に入ることなんだ、と書かれている。

「今は時間が無くて、できてないけど、毎日やっていれば仕事にからなずプラスになることを思い浮かべてみて」

これが2領域のイベント。

3.また、自分がやりたくて続けてきた事柄については、やりかけのまま終わるにあたっても、なお満足だった。
先ほど、山登りの話をしたけれど、嫌々登るような山っていうのは、登頂しなければまるまる無駄に感じる。

でも、好きで上る山っていうのは、登っている過程が楽しい。
途中で腰を掛けて、ああ、いい景色だな、って思うのが楽しい。

僕たちは、同時にいろんな山を登っている。
どういうつもりで登っている山なのかを、わからなくなることってあるはず。

そんな時に、この山登りそのものが、今楽しいのかどうかっていうのは、判断の材料になる。

4.最後に、僕はウェットな人間関係を馬鹿にしてきたが、

家族や友人との関係はすごく大事なものだった。
これについてはたぶんうまく言葉にできない。
というか、

その代わりと言っちゃなんだけど、もう一つ脱線。知っておいてもらいたいスピーチ
TED
ロバート ウォールディンガー
人生を幸せにするのは何?
というスピーチ。

これはいい。多くは語らない。とにかくいい。
このラジオを止めて、検索して、もうこのラジオに帰ってこなくてもいい程度にはイイ。

まとめると4つ。
1.人生を投資だと思っていると、回収し損ねたら後悔するよ
2.大事な仕事、と思っている物って、意外とどうでもいいものだよ
3.目標を達成できなくても、経過が楽しいような仕事を大事にするといいよ
4.家族や友人との時間を大事にした方がいいよ

割と当たり前だね。

ともあれ、病気をなおしながら、

自分の人生とは何かということを自問した。
「人から求められる正しい生き方」は、空虚な絶望しか生まない。
たぶん、それは自分の価値観から来る生き方じゃないから、最後の最後で自分の価値に変換できない。

再び絶望するのが怖くなった。あれば、だめだ。
あの後悔の中では死ねない。

だから、
自分の人生は、自分自身で肯定しなければならない。

幸い、あの経験で、感じた4つのことのうち、2つが自分を最後に認めてくれるものだということを学んだから。

今の僕の座右の銘は
「時間を無駄にしない」
すごく当たり前だね。

文字づらだけ見ると、
「ライバルは昨日サボらなかった自分」
「時間を浪費しない」
以前のものと変わらないように聞こえるかもしれない。

でも、全然違う。
時間を無駄にしない、というのは
流れている時間というものを、その時その時で、「一番意味のある使い方をする」、という意味。
振り返ったときに、「意味があった」と思えるような使い方をするという意味。

忙しく仕事を詰め込むことじゃない。

このチャプターのキーワード
「時間を大事にする」ということは、振り返ったときに「意味があった」と思えるような使い方をするということ。


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