研修医のうちに

ハブになれる人材とコミュニティーの持つ大きな価値

博士
博士
最近は病院以外の仕事が増えてきたこともあり、ハブになれる人材の持つ価値について考える機会が増えました

複雑系のスモールワールド

地方都市に住んでいる方が、アメリカの地方都市まで飛行機で移動することを考えてみましょう。
地方都市→成田国際空港or関西国際空港→アメリカの主要空港→地方都市
無数に存在する日本の地方都市とアメリカの地方都市が、3回の乗り換えでつながってしまう現象。世界は広いようで、意外と狭いね(スモールワールド)。
このような移動が可能になる最大の理由は、ハブ空港の存在です。
仮に、成田国際空港や関西国際空港といったハブ空港がこの世に存在しなかった場合を考えてみると、どうやっても、目的とする地方都市に行く方法がない場合も想定できますね。
ちなみに私の住む岡山空港からアクセスできる国内・海外の空港はこんな感じ

それに対して、成田国際空港の中で国際路線&ANAだけに限定してもこれくらいの違いがあります。

ハブ空港からは、自転車のスポークのように放射状に、(ときに無数に見えるほどの)たくさんの線が伸びていることが特徴です。そのため、ハブアンドスポークとも呼ばれています。

ハブになれる人材の持つ価値

ハブ空港と同じように、人と人のつながりという視点からハブになれる人材について考えてみましょう。

例えば、レストランのオーナーさんとそのレストランの常連さんである二人の医師(A先生とB先生)がいたとします。レストランで常連さんが「検診で痛風を指摘されたんだけど、いいお医者さん知らない?」と質問してきたとします。
その話をレストランのオーナーさんが、二人の医師に相談した際、
A先生 俺、専門が泌尿器科だから痛風は診ないんだよね。
B先生 あ、うちの近くに最近できた内科クリニックの先生が感じのいい先生だから紹介しますよ。
という二通りの対応があるとします(これはどちらが良いか悪いか?という問題ではありません。あくまでレストランには食事をしにきているわけですから)

でも、レストランのオーナーにとって、「医療について困ったことがあれば、とりあえずB先生に相談すればよい(ハブになれる人材)」という評価になるでしょう。

医師の立場で逆向きも考えてみましょう。
いきつけの2つのレストランがあったとして、「今度、海外のゲストをお招きすることになったんだけど、宗教上の理由で提供できる料理にかなりの制限があって困っているんだよね」と世間話をしたとします。
Aオーナー それは、困りますね。うちにもそのような相談が時々あるけどお断りしてるんですよ。そもそもオレ英語喋れないし笑
Bオーナー あ、それなら、○○ホテルのシェフが俺の後輩で、対応できると思うからLINEで紹介しますよ。
この場合もハブになれるのはBオーナーですね。

ハブとハブが出会うと、世界はスモールワールドになる

医師の中にも、ハブになれる人材とそうでない人材がいます。
レストランオーナーにも、ハブになれる人材とそうでない人材がいます。
注目すべきは、「ハブになれる人材どおしが結びつくと、とんでもなく価値のあるネットワークが形成される」という点です。
冒頭に紹介したように、世界中の地方都市と地方都市へ移動ができる最大の理由はハブ空港の存在です。
それと同じように、ハブ人材としてのB医師、ハブ人材としてのレストランBオーナー、ハブ人材としてのB美容師、ハブ人材としてのB大工さんのように、異なる業界でハブになれる人材が5〜10人集まると、とてつもないネットワークが形成されます。ハブ人材そのものが大きな価値を持ちますが、ハブ人材がネットワークを作ることで、さらにネットワーク(コミュニティー)大きな価値が生まれるのです。
このハブ人材とハブ人材は、異なる属性の人の方が価値はさらに高くなります。医師(ハブ人材)✕ 医師(ハブ人材)よりも、医師(ハブ人材)✕ レストランオーナー(ハブ人材)の方が、アクセスできる人の属性がほとんどかぶらないし、それぞれのコミュニティーが必要としている課題も大きく異なるからです。