経済的自由・独立

FIRE(Financial Independence, Retire Early)という新しい医師のライフスタイル

博士
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医師が経済的自由に到達するためのシナリオについて考えてみよう



経済的自由に到達できないシナリオ

最初に、残念なお知らせですが、多くの勤務医(特にすでに40歳を超えてしまった世代)は経済的自由に到達できない可能性があります。その理由を考えてみましょう。
まず最初に、医学部を最短で24歳で卒業し、30歳までに子供を作るシナリオ。子供は1人〜3人を想定しています。最近は、このパターンは案外少ないかもしれませんが、現在40〜60歳の世代にとっては、わりと一般的なシナリオでした。第一子が中学入学から大学卒業(医師家庭であれば、医学部進学を考えるでしょうから24歳と設定します)の時期は、教育費という大きな重りを背負う時期であり、よほど強い意志がないと資産形成どころか、貯金を切り崩さずに生活するのがやっと。というご家庭が多いと思います。

そして、子供が手元を離れてから、定年退職までの期間は、10年未満です。
そう考えると、40歳までに資産形成できたかどうか?が非常に大きなターニングポイントになるといえます。
私の周囲の勤務医(特に急性期病院に勤務している医師)を見渡すと、40歳までに経済的自由に到達した人はあまりいませんでした。

私の周囲に多かったパターンはこんな感じです。30代は、資産形成というよりは、自分の人的資本を育てるための投資(学会発表、留学、海外出張、博士号取得)を優先するため、資産形成が後回しになってしまいます。そして、40代に突入して、資産形成が全くできない暗黒時代を迎えます。55歳から、残り10年でハードワークしてお金を稼げたら良いのですが、この時期は自分の体力、気力が衰える時期なので、若いときほど無理がききません。

経営者目線で自分の労働価値を俯瞰する 自分自身は、いつも目の前のことを一生懸命にこなすのが精一杯だと思います。でも、少し時間があるときに、空の上から、自分...

そして、65歳頃に定年退職してしまうと、いったん労働市場からは退場させられてしまいます。その後は、フリーランスというよりは、フリーターとしての仕事をするのが精一杯かもしえれません。フリーランスとフリーターの違いは、下記のブログをご参照ください。
フリーランス医師とフリーター医師の違い
理想的に言えば55歳以降、自分の人的資本が低下する時期を見据えて、40代後半までに、金融資産を蓄積しておき、それを金融資産投資、不動産投資、スモールビジネスなどに投資することで、資産を増やすステージに到達しておく必要があります。投資するための種銭(たねせん)を貯めておく必要があるということです。

FIRE(Financial Independence, Retire Early)という新しいライフスタイル

今の若い世代に、増えているライフスタイル。
キーワードは、FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的に独立して早期退職)です。
このライフスタイルでは、医学部卒業後にハードワークをしつつ、貰った給料の殆どを貯蓄にまわします
今日、TwitterでみかけたDr.Koala先生は、ブログ記事によると、貯蓄率80%を超えており、ものすごいペースで資産を形成しています。
その特徴として
・若いうちに非常に質素な生活&ハードワークを続けて、一気に資産を蓄積する。
・男性医師の場合、シングルで生活して、マイホーム購入、出産というイベントを後回しにする。
・結婚した場合であっても、(時には出産を後回しにして)夫婦揃ってハードワークしつつ、質素な生活を続ける。
そして、30代後半までに、5000万円〜1億円の資産をとりあえず作ってしまいます。

30代後半で、5000万円〜1億円の資産を作ったとしても、超低金利の時代に、資産運用だけで生活するなんて無理だよ。というツッコミがありそうですね。でも、この人達は、この年まで、貯蓄率80%を超えるような超質素な生活をしているわけですから、そこから先の人生でも、生活維持費が非常に安くてすみます。そもそも、その質素な生活を続けるだけなら、週に数回働けば、十分という人たちです。ハードワークは、資産を猛烈なスピードで蓄積するために人生の一時期に限定しておこなっています。
そして、勤め人としての生活はEarly retireして、後は資産運用したり、週に数回のんびり働いたりしながら、自分の人生を楽しむというスタイル。まとまった資産があれば、適切に資産形成すれば、不労所得が得られますから、そこから先は、働きたければ働けばいいし、必要があれば子供を作ったり、質素な中古の家を購入したりするのかもしれません。40代以降は、質素な生活を続けるには十分な金融資産を持ち、自分や家族のやりたいことを優先する生き方をしていくのだと思います。

追記(2019/04/11)
本記事に書いたFIRE(Financial Independence, Retire Early)という生き方は、Twitterで非常に大きな反響をいただきました。下記の記事がとても読み応えのある良い記事なので、興味のある方はご参照を。
Twitterの記事と、ブログ記事の両方のリンクを貼り付けておきます。

FIREは資本家に抗う現代のプロテスタンティズム