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とある組織に入社したあざらし君
あざらし君はとある組織に入社した。
あざらし君は元々優秀だったので、同期入社した10人の社員の中で抜きん出た存在となった。
同期入社した人たちは、地方勤務になったけど、あざらし君は優秀だったので、そのまま本社勤務となった。
出世して、本社勤務になったあざらし君は、社内のとある部署に配属された。
この3ヶ月後、あざらし君は上司のパワハラでうつ病になり、自殺寸前まで追い込まれることになる。
出世したあざらし君が配属された部署の仕事は、なんと暗殺だったのだ。。。
翌月も暗殺ができなかったあざらし君に対して、上司である博士は、さらに厳しいプレッシャーをかけてきます。
毎日朝礼のあとに、博士はあざらし君を部屋に呼んで、1時間の説教をします。
そして、ノルマをこなせないあざらし君は、3ヵ月後うつ病になるのであった。
あざらし君の立場からパワハラ構造を分析
仕事は博士からあざらし君に与えられる構造なので、あざらし君にとって、博士の存在は
・無理な仕事を押し付けてくる存在
・こちらは体力、精神的な限界を超えているのに、そのことを全く理解できない無能な上司
といったところでしょう。
ストレスの対象は、こちらの体調を全く考慮せずに仕事を手加減なく割り当ててくる上司(博士)です。
上司(博士)の立場からパワハラを分析
博士にとって関心があるのは、社長から自分の部署に割り当てられた暗殺者のノルマを達成できているか?
だけです。
そこが滞りなく行えているのであれば、全く問題なし。
もちろん、あざらし君が自殺して、ニュースになるようなことがあれば大問題ですが、うつ病で休業するくらいだと、「まあ、しゃーないね。」くらいの認識だと思います。
自分(上司)は、社長から割り当てられたノルマをこなすことが最優先のタスクであり、そこさえ達成できていたら、正直あとは部下の問題でしょ。部下が体調壊すのは、部下が無能だからでしょ。くらいの認識だと思います。
社長に博士に問題があると報告したら解決するのか?
あざらし君が、博士より上の立場のスタッフに、「自分は博士からパワハラを受けている。博士に改善するように指導してくれ」と報告したら状況は改善するでしょうか?
結論から言うと、状況は全く改善しないでしょう。
というのもの、会社にとって上司(博士)の存在は
・暗殺部署の中で、同年代の社員から抜きん出た存在となり、今のポジションを得ている存在
・暗殺の仕事を命令しているのは社長自身であり、上司(博士)を指導する理由がない
あざらし君が理解すべきこと
とはいえ、あざらし君は暗殺という上司から与えられたタスクをこなすことができません。
ここで、重要なことは、
「あざらし君が人と比べて劣っているから、仕事(暗殺)ができないわけではない」ということです。
今回は、暗殺という仕事を例にとりましたが、例えば会社が社員に求めていることは、
・残業、休日出勤を文句を言わずにこなす忠誠心(ブラック労働)
・仕事が終わったあとは、社内の空気をよんで飲み会には3次会まで全参加する忠誠心
みたいなことだったりします。
いずれも、それができるから人より優れているわけではありませんよね。
とはいえ、社長が求める人材に要求されるものが暗殺であれば、暗殺を躊躇なくできる人物が組織に残ります。
そして、その人物は、優秀であるというよりは、他の社員が到底こなせない仕事を、生き生きとこなせる特性を持っている。
今回のケースだと、博士はサイコパスなので、暗殺をなんの葛藤もなくこなせるので、出世しました。
365日職場で仕事をしているような人も、実は家に帰るのは辛いけど職場で仕事をしているふりは、わりと楽という人も多いです。
ともあれ、社内の構造としては、社長が与えた仕事を過去の実績こみでいえば、一番達成しているのは博士。といえるのです。
あざらし君ができること
このまま、仕事を続けたら、うつ病で再起不能の精神的ダメージを受けてしまう。下手をすると自殺をしてしまう。
ですから、あざらし君にとって、「歯を食いしばって仕事を続ける」というのは、最悪の選択肢です。
一番の問題は、「暗殺」という仕事が、あざらし君にとって非常に大きなストレスであること。
そうであるなら、残念ながら、選択肢は限られており
これが一番有効な方法です。
というのも、日本において、特定の仕事をしないという理由で解雇されるケースはほとんどありません。
きちんと出勤して、言われたことには、「はい。わかりました」と答える。
でも、暗殺はしない。暗殺せずに定時に退社する。
そうすると、困るのは上司(博士)です。社長から与えられたノルマを達成できません。
最初は、もちろん、あざらし君に説教するでしょう。
でも、あざらし君が、「わかりました。がんばります。」と言うだけで全く暗殺ができないとしたら。
怒るだけではなんの解決もしないので、そのノルマを他の社員におしつけるしかありません。
これが、あざらし君がとれる最良の選択肢です。
でも、残念ながら、その場合、翌年に地方に転勤となる可能性は十分にあります。
ここで天秤にはかるべきことは
”うつ病で精神崩壊、もしくは自殺” と ”地方転勤”です。
結論は1秒ででますね。
仕事をしないという選択肢以外にもう一つあるのは、
という選択肢です。
僕は、会社や組織というものに所属して働く場合、必ず「その会社に勤務する以外の複数の選択肢を持つこと」がとても重要だと考えています。
あざらし君の立場で、「この会社で働くのがきつくなったら、○○に転職しよう」とか「ある程度の蓄えがあるから、会社をやめても半年くらいはのんびりできる」というふうに、転職や退職してしばらくのんびり過ごすという選択肢があるならば。先述のように「暗殺の仕事は僕にはできません」と仕事を断る選択肢も出しやすいですね。最悪、仕事を辞めればいいわけですから。
そして、勇気をもって特定の仕事(この場合暗殺)を断ったとしても、その仕事が他の社員に割り振られるだけで済むケースも多々あります。
ゆうても、あざらし君は同期の中で優秀だったからそのポジションを得ているわけですから、問答無用でクビになる可能性はほとんどないはずです。
パワハラを受けて、うつ病になる前に
と断る。もしくは何も言わずに堂々とサボる勇気
そして、
と言えるように、普段からその会社にいづらくなったケースに備えて、複数の選択肢を用意しておくこと。
私がこのブログで、「地方勤務の医師は安易にマイホームを買わないほうがよい」という内容の記事を書いている理由は、マイホームを購入して、長期ローンを組んでしまうと、「嫌なので辞めます」という選択がとりにくくなってしまうからなのです。
まとめ
会社、医局といった組織で働き続けていると、「パワハラ」問題に巻き込まれる可能性があります。
労働者(勤め人)の立場で、そこから抜け出すためには、「与えられた仕事をやらずに職場にとどまる」こと。もしくは「その仕事を辞める」という2つくらいしか選択肢はありません。
与えられた(特定の)仕事を自分がやらなくても、他の誰かがしますから、自分の体調を壊すほど仕事はしないようにしましょう。
そして、その職場で仕事を続ける以外の選択肢は必ず考えておきましょう。その選択肢があれば、仕事をさぼるもよし、退職して他の職を探すもよしです。