投資の原則は、分散投資とされています。株式や債権に分散投資している人は多いと思いますが、不動産にも分散投資することが可能です。今回のテーマは、不動産の現物所有とREIT(リート)について、わかりやすく解説してみました。
不動産の現物所有とREITについて
不動産の現物所有について
収益不動産を購入する目的には2つあります。
不動産を購入する2つの目的
不動産を安く買って高く売る キャピタルゲイン
不動産を人や企業に貸し出すことで家賃収入を得る インカムゲイン
そして、もう一つの重要な戦略として、借金をしてレバレッジをかけることです。
レバレッジは「梃子(てこ)」の意味で、借金によって資産の運用効率を高めるハイリスク・ハイリターンの投資戦略を意味する。得も損も倍増させるターボチャージャー。
例えば、1000万円の現金で1000万円の不動産しか買えず、10年後に地価が2倍になったとしても、資産は2000万円に増えるだけです。それに対して、不動産をローン(借金)を利用して購入するとします。20%の頭金で不動産を取得することができれば、1000万円の頭金で5000万円の不動産を購入することができます。これで地価が2倍になれば、資産は1億円に膨れ上がります。頭金は1000万円ですから、レバレッジの力で元本が10倍になったわけです。借金(レバレッジ)は、資産運用におけるターボチャージャーと考えると良いでしょう。
もし、仮に1000万円の頭金を元に、新しいビジネスに挑戦したいから、4000万円貸して欲しいと銀行に申し出たとしても、100%門前払いになるでしょう。このような大きなレバレッジ(借金)のかけられる投資先の代表が不動産投資なのです。
しかし、レバレッジというのは、利益を梃子(てこ)の力で倍増させる効果がある反面、損失も梃子の力で倍増させます。資産価値が下落した場合にターボチャージャーは逆回転します。先程の例で、1000万円の頭金で5000万円の不動産を購入して、10年後に地価が半分に下落したとします。5000万円で購入した不動産の価値が2500万円に下落したことになり、2500万円の損失を被ります。地価は50%下落しましたが、5倍のレバレッジのため、損失が元本の250%(2500万円)に膨らんでしまいました。
不動産の分散投資(REIT)
資産運用の基本が分散投資だということは、いまでは誰でも知っています。手元に2000万円の資金があり、その全額を使ってトヨタの株式を購入するのは個人の自由ですが、一般的には投資対象を分散させることが多いでしょう。
例えばVTの購入を考えてみましょう。VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETFのベンチマーク)は約8,000銘柄の大型、中型、小型株で構成されており、全世界の投資可能な市場時価総額の98%以上をカバーしているとされています。理論上は、手持ちの2000万円を、世界中に存在する8,000銘柄に分散投資したことになります。
2000万円の資金で、現物不動産を購入するというのは、投資対象を1つに絞った戦略になります。それに対して、REITというのは、不動産の分散投資を可能にした商品です。
REIT(リート)とは、投資者から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する商品で、一般的に「不動産投資信託」とよばれています。投資者は、REITを通じて間接的に様々な不動産のオーナーになり、不動産のプロによる運用の成果を享受することができます。
さらに
① 個人では購入が難しい、大型の不動産に間接的に投資が可能。個人の属性であれば、アパートやマンションの購入が限界だが、REITであれば、オフィス、ホテル、倉庫等の多様な物件に投資が可能。
② 流動性が高く換金が容易
取引所に上場されているREITは、上場株式と同様に取引所で売買でき、比較的流動性が高く、換金性に優れています。個人で所有する不動産は簡単に売り買いできるものではなく、換金性はREITに劣ります。
③物件に手をかける必要がない
空室対策や水漏れ、修繕など不動産物件に手をかける必要がありません。
上述のとおり、REITは、不動産現物所有とは異なる性質を持っています。不動産投資を生業として生きていく人にとっては、他人任せのREITに投資するよりも、自分で現物不動産を所有した方が良いと考える人もいるでしょう。しかし、医師のように、自分の専門性とは大きく異なる不動産という世界に投資するのであれば、REITという商品は購入を検討する価値のある商品だと思います。
まとめ
現時点で、国内不動産は割高とされています。医師として、しっかりと働き、日本円(キャッシュ)を保持しておいて、不動産が下落したタイミングで不動産投資に参入したいと考えている人も多いと思います。不動産が下落したタイミングで、不動産の現物を買うのか、それともREITに分散投資するのか?というのは、今から考えておいても損はないと思います。
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