資本家と労働者

資本家と労働者の立場から、医師とお金の関係を考える

給料の本質は、労働力の再生産に必要なミニマムコスト

資本家は、労働者(医師)に対して給料を支払います。

労働者は、労働(時間)という価値を提供し、給料(お金)をもらいます。

ここで、給料の定義をお示しします。

給料 = 労働力の再生産に必要なミニマムコスト

研修医の給料が安いのは、一般に独身&ひとり暮らしであることが多く、生活費が安くて済むから。逆に所帯持ちの年齢になるとそれなりの給料になります。その給料を使って、普通に1ヵ月生活すると、基本的に手元に給料はあまり残りません。

儲けている診療科とそうでない診療科で給料が同じなのはおかしい!!

うちの診療科は、毎月○億円の売上を出しているのに、○○科の医師と給料が同じなのは、おかしい。そのような意見を聞くことがありますが、給料の定義を知るとその理由がわかります。もしかりに、毎月○億円の売上を出している医師が、開業して、資本(生産設備)を所有しているのであれば、それ相応の収益を得ることができるでしょう。しかし、資本家と労働者は、全く立場が異なります。毎月○億円の売上を出している恩恵を受けるのは、資本家であり、労働者は、あくまで、労働力を再生産するためのミニマムコストを給料として受け取るのみです。

労働者が資産を蓄えるためには、相当な努力が必要

医師は、現代の日本において、代表的な高額所得者です。しかし、40代で貯蓄がゼロという医師もたくさんみかけます。貯蓄がゼロならまだマシですが、マイホームローン、マイカーローンといった借金をたくさん抱えている医師もたくさんいます。これも、給料が労働力の再生産に必要なミニマムコストと考えると理解は容易になります。元々労働力を再生産するために必要な金額(家に住む、子供を学校に通わせる、食事をする、適度に遊ぶ)ぎりぎりしか提供されていないわけですから、何も考えずに生活しているのであれば、資産が増える理由はありません。

逆に、資産を蓄えるためには、お金について勉強(マネーリテラシーを身につける)し、資産を蓄えて、金融資産運用や不動産所得などの不労所得を得ることが重要です。スタートはみんな労働者ですが、そこから資本を蓄えて、資本を効率よく運用することでさらに資産を増やしていくスパイラルに乗せることが重要なのです。

資産ゼロのままだと、死ぬまで働かないといけない(ラットレース)

お金を得るための手段として、「自分の労働力を資本家に提供する」という仕組みしか持たず、資産がゼロのままであるとしたら、死ぬまで働き続けなければなりません。もちろん、年金をもらうことは可能ですが、医師の現役の給料と比べると、圧倒的に少ない金額ですし、そもそも自分が定年退職する年齢で、十分な年金が得られる保証はありません。

まとめ

勤務医を続けている間は、「強い意志を持って、資産を蓄え、それを運用して増やす」という意識を持たないかぎり、いつまでもいつまでも、働き続けなければなりません。自分が60歳、70歳になった時に、働かなければ生きていけないというのは、とてもしんどい選択になります。そうなる前に、もらった給料の中から、きちんと貯蓄し、それを適切なリスクの元で運用するマネーリテラシーを身につけることは、医師にとっても重要なことです。