資本家と労働者

格差社会を資本家と労働者(医師)の立場で考察してみた

勤務医の給料の財源はどこにあるのでしょうか?これは、もちろん病院の収益ということになります。医師がいないと患者さんの治療ができませんから、病院は医師を雇用することが原則となります。病院の収益の一部を医師に対して支給することになります。人間の能力は均一ではありませんから、本来であれば、病院職員全てを基本給と能力給で評価することが理想ですが、これは、膨大な手間がかかる反面、非常に大きな反発がおこるため、実現はほぼ不可能です。病院の収益のうち、人件費に割り当てられるお金(パイ)の割合はある程度決まっていますから、それを職員の頭数で割るというのが一般的でしょう。日本は年齢に応じて給料の傾斜をつけることが慣習となっているので、年齢に応じて給料の額が決定されます。
病院の収益を決める決定権は、国が握っています。病院が儲けすぎないように、保険点数は定期的に見直しされ、病院が死なない程度に水道の蛇口を絶妙な加減で調節するのが国の仕事です。これは、もちろん社会保障費を抑制するための政策です。

自分が官僚なら、病院経営者ならと考えてみよう

医師の立場で考えた場合は、「自分はこれだけ病院経営に貢献しているのに、○○と同じ給料はおかしいでしょ!」となりがちです。ですが、仕組み全体を官僚もしくは病院経営者の立場にたって考えてみましょう。

官僚の立場

税収を確保するのが大変。今後団塊の世代に対して医療費がかかるようになるため、社会保障費は増加の一途。国の財政を保つためには、病院に支給できるお金はこれ以上増やすことなんて到底不可能。医師には、申し訳ないが、水道の蛇口は医師たちが死なない程度にしぼらせてもらうしか、現行の社会保障制度を維持するためには他に方法がない。特に地方都市は大変だと思うけど、みんなで支え合って頑張って欲しい。

病院経営者の立場

もちろん、医師にはしっかりとした給料を支給したいが、水道の蛇口が年々しぼられていくから、病院全体の人件費も次第に縮小しないと病院が存続できなくなる。医師には申し訳ないが、これまでと同じ水の量で、これまで以上に働いてもらいたい。本当に申し訳ないがそれしか方法がないのだ。

今後世界中で格差は拡大していく

勤務医はちょっと給料の良いサラリーマンです。組織の収益から給料を分配支給されているわけですから、一般企業のサラリーマンとそれほど大きな差はありません。そして、組織の収益がさがるようになれば、人の数を減らすか、給料を減らすか、同じ給料で長時間労働させられるかといった選択を迫られます。いずれも、労働者に対する負担は増加しますね。
勤め人の最大のメリットは、安定していることです。給料が多少減らされることがあったとしても、仕事が忙しかったとしても、先月と同じ給料が今月も支給されるというのは、実はすごいことです。インフルエンザで病院を休んだとしても、有給を消費して、同じ金額の給料が支給されるのです。これは、自営業者の立場からみたら、非常に大きな恩恵だと思います。
しかし、デメリットもあり、給料というのは医師の頭数で均等に分配されますから、どうしても、働く医者、働かない医者に対して、同じ給料を支給する、つまり組織全体の平均化した給料しかもらえないというジレンマが解決できません。そして、このような仕組みの中で長年働いていると、「働いても、働かなくても給料同じ。それなら働かない方が効率が良いでしょ」というのが合理的な判断になってしまいます。これはシステムの問題なので、個人を責めることはできません。
現代では、インターネットの発達により、個人経営者であっても、人や大型設備を保有することなく、ビジネスを行える環境が整ってきました。労働に依存する割合が減り、知的労働で莫大な富を得ることができるような時代に突入しています。昔であれば、経営にリバレッジを効かせるための手段といえば、人を雇うこと、そして借金をして得たお金の力を使うことが一般的でした。自分の儲かるビジネスモデルがあれば、そこで働く人の数を10倍にすると利益が上がります。自分の儲かるビジネスモデルがあれば、そこに借金をして人からかりたお金を、ガソリンとして注ぎ込むことでビジネス規模を拡大することができました。
ですが、今の時代、インターネットそのものが、巨大なリバレッジとして機能するようになりました。例えば、YouTuberの収益というのは、面白い映像を撮影して放送して、広告収入を得ることです。アクセス数が1でも、100万でも、本人がやることは同じです。つまり、人気YouTuberは、インターネットというリバレッジを使って、アクセス数1の人の100万倍の収益を得ることが可能になります。これが、インターネットのリバレッジにより、一部の人が莫大な収益を上げることが可能になるメカニズムです。
以前であれば、ビジネスを成功させるためには、人をたくさん雇う必要がありました。車を作って販売することを考えただけでも、自動車を製造する人、下請けで部品を作る人、自動車を販売する人、部品を運搬する人など、非常に沢山の人が参加しており、それぞれが利益の一部を受け取ることができていました。成功したビジネスの元では、たくさんの人がその恩恵にあずかれたわけです。しかし、現在は、勝者総取りの時代になっています。人気YouTuberは、ほとんど全ての作業を一人で完結することが可能です。作業のいくつかの工程を外注することもあるでしょうが、関わる人数というのは数人だと思います。ですから利益の生まれるビジネスモデルが生まれたとしても、その恩恵にあずかれるのは数人だけ。これが、世界中で格差が拡大している一つの理由だと思います。

勤務医の安定を利用しながら、スモールビジネスに挑戦する価値

残念ながら、このような背景があるため、勤務医の給料は安定が最大の価値である一方で、今後次第に減っていくことは間違いなさそうです。給料が減るだけではなく、地方都市では働く医師の数が減ることで労働時間が増加する可能性が非常に高いと思います。勤務医という枠に中にいると、厳しい未来しか想像できませんが、他のレイヤー(スモールビジネス)で活躍できるようになれば、収入を増やすチャンスも転がっています。勤務医という車のエンジンに、スモールビジネスという別のエンジンを搭載することをイメージしてみましょう。最初は、スモールビジネスのエンジンはしょぼいし、メンテナンスに時間がかかるだけで約に立ちません。しかし、スモールビジネスのエンジンは、自分の車に複数搭載することが可能です。そして、何の気なしに搭載したエンジンが、1年後に結構な馬力で働くターボチャージャーに変化する可能性もあります。勤務医のエンジンは今後、老朽化していく一方でしょうが、スモールビジネスを複数所有していると、いずれかのエンジンが活躍してくれる可能性が高くなります。
勤務医という働き方に100%依存するのが安定なのか?それとも勤務医プラスαという働き方によって、いくつかのスモールビジネスを所有して、勤務医の給料を成功したビジネスモデルで補う方法が安定するのか?私は、後者が安定した働き方になる気がしていて、スモールビジネスに挑戦し続ける人生を選択するようになったのです。

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