いまだ金時ラジオ

いまだ金時ラジオ 第2回 「時間を大事にする」という言葉の意味 part 2

2019/02/25 第2回 ゲスト フランケン
テーマ 「時間を大事にする」という言葉の意味

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主題4 自分の時間を色分けする


主題5 人生という風景

シンポジウム1 人生観についての対談しましょう。

主題4 自分の時間を色分けする

今日の本題に移る前に、前回までのおさらいをしておこう。
前回までのチャプターでお話したことっていうのは、一言でいうと「時間を大切にする」ということ。
パッと聞いた限りでは、当たり前のように聞こえるけど、これは忙しく何かを詰め込めってことじゃないよ。
僕は昔、時間を仕事で圧縮するような人生を送っていた。
それではダメだったんだ。

流れて行ってしまう時間を大切にするには、そのときそのときで、一番有意義な使い方をすること。振り返ったときに、いい使い方をした、と思えるような使い方を心がけること。

文字にするとそういうことなんだけど、当たり前すぎて、なんだか直感的に伝わらない。
倒れる前の僕なら、「ま、そりゃそうでしょうね」と聞き流すと思う。

その反省からわかったことは、「時間の見え方」というものを体感しなければ、人生という時間の使い方は、変わらないだろうということだ。

言い換えれば、僕が今際の際で、どのような風景を見たか、というものを共有できれば同じ体験をしてもらえると思う。

直感は言葉を超える。
プレゼンテーションで飯を食っている僕としては、是非とも頑張ってみんなの直感を刺激する方法を提案したいと思う。

まず、自分の時間を色分けする事から始めよう。
これからちょっと面倒くさいことを言う。
いくつか用意してもらいたいものがある。
紙と鉛筆。なるべく色数の多いマーカーペン。

ま、実際に用意しなくてもいいけど、部屋の中を見渡して手に入るようなら探してみてほしい。

準備はできただろうか?

さて、
A4の用紙を縦に置き、鉛筆で24cmの縦棒を書こう。
罫線用紙なら、24行で良い。
幅は1cmくらい。
だいたいでいい。

この棒はあなたの「昨日」。

別に一昨日でも構わない。

まず思い出してほしいのは、昨日は何時に寝て、何時に起きただろう?
寝ていた時間をマーカーで塗ろう。なるべく好きな色で塗ってほしい。

睡眠は浪費じゃない。こんな当たり前のことを僕は数年前まで知らなかった。

次に、起きてから、1時間ごとに何をしていたのか、棒の隣に一行で鉛筆で書いていく。

覚えている順に書く。なるべく細かく。ざっくりと仕事、とは書かずに、

外来、手術(なになに術)、検査(心カテ)、などと細かく書く。

例えば僕だと、出張中は結構忙しい。興味深い出会いも多く、ほぼびっちり書くことができる。逆に、仕事中はほとんど書くことが無い。外来、昼めし、手術、くらいで夜になってたりする。

皆さんはどんな感じだろう。
休みの日でも同じだ。昨日の昼は何時に食べたっけ、そのあとでかけて、映画をみた。夕方までは特に何してたってことはないな、とか。

さて、埋まらない行はあるだろうか。

いや、そりゃあ、あるでしょう。昨日のことをびっちり覚えている人がいたら、むしろ気持ち悪い。

昨日のことなんて、そこまできっちり覚えているわけがない。

一昨日になると、相当怪しくて。1週間前になると、全く覚えてない日なんてものもあるだろう。

そんなもんです。

だから、覚えていない空白が悪いとは、全く言わない。

これを減らせとも、いうつもりはない。

とりあえず、へえ、結構埋まらないもんだな、と思ってくれれば今はそれでいい。

好きな色

ここからが本題だ。

今は、24時間の帯に、睡眠時間が何時間か塗ってあって、隣に何行かイベントが並んでる、という形になっているはず。

そうしたら、このイベントの中で、これは楽しかった、というものを1つ選んでほしい。

この時間に好きな色を塗ろう。
僕は青系が好きなので、なんとなく青っぽくなっちゃう。まあ、何色でもいい。

イベントを選ぶ基準は、昨日をもう一回やり直すとしても「この時間は有意義だったのでもう一度やってもいい」と思う時間。
目に付いたものに色を塗ろう。同じ色を使うと味気ないので、なんとなくでいいからなるべく楽しげな色を選ぼう。

ここでは、上からザッと目を通して、瞬時の判断で、ぬっていく。
1つ1つ色々な色を使ってもらって構わない。その時の気分で好きな色で塗ってほしい。

あ、これはどうかな、別にそれほど、という感じならパスしていこう。
「保留はパス」の気分で。

感覚としては、1/3もあれば相当ハッピーな1日と言える。

嫌いな色

次はちょっと感覚的に難しい。

できればやりたくなかったけど、やり直すとしても、もう一度やらざるを得なかった時間」というものを探そう。

ポイントは、「あえてわざわざ予定を立ててまで、その時間にやるか」っていうイベントだ。

当直明けの朝飯とか、通勤電車とか、やらなしゃーないけど、あえて予定まで立ててやることじゃないでしょう?

そういうものは外す。

例えば同じ診療行為でも、

自分の専門領域の手術とかはここに入るかもしれないし、深夜の切り傷のオンコールなんかは入らないかもしれない。

論文や講演の準備なんかでも、このカテゴリに入るものと入らないものってあると思う。

そういったものを選んで、これにも色を塗ろう。
今度は「あまり好きではない色」を選ぼう。

僕はなんとなく、茶色だ。
紫、緑なんかもここに使うかもしれない。

ここでもポイントはいっしょ。

上には戻らない。
「保留はパス」の気分で。

放っておく行

さて、これでだいたい終了。

どうでしょう?

「しましまだな」と思ったあなた。
あなたの感性は正常です!

多分、IQの高いクラスタの人達は、
あー、はいはい、
「嫌いな色を減らそう」
とか
「好きな色を増やそう」
とか、
説教くさいことを言うと思ったでしょう?

そんなこと言われたってどうにもできないことは、
僕はあなたより知っているつもり。

ここでの大事なポイントは、
「それ以外の行は放っておいて良い」
っていうこと。

自分の時間を後ろ向きに見たときに、
毒にも薬にもならんなぁ、
って時間は、個人差もあるけど、結構多い。

このチャプターのキーワード
「時間を後方視する」1日ぶんでいいから、意味付けをしながら過去を振り返る。
これをやってみて欲しかった。
「好きでも嫌いでもない時間」というものがあることを認識して欲しかった。
これに尽きる。

赤の使い方は微妙だ。
テンションが高い色だけど、そのぶん疲れる。
好きな色にも嫌いな色にも選ばれる

主題5 人生という風景

さて、ここまでで1日分の人生を振り返ってみた。
この後どうするかというと。

おもむろにこの紙を壁に貼ろう。

そうしたら、反対側の壁まで歩いてほしい。

で、遠くに貼ってある紙を眺める。

この風景はなんだろう?

この風景は、今際の際に見える自分の人生に似ている。
色々な見え方を模索したけれど、これが一番近いと

僕は思う。

何をしていたかなんて細かいことはわからない。
それはちょうど、さっき書いてもらった鉛筆書きの文字が全く見えないのと同じ。
遠い過去の具体的なイベントなんて、ほとんど思い出せない。

でも、こういう1日を生きたという漠然とした記憶だけはある。

そういう風に見えるんだよ。

壁に貼られた過去
紙だとね、余白が大きすぎるんで、まあ、透明なセロハンとでも思ってほしい。

1日を表すこの棒がビッシリと壁を覆い尽くしている。
まるで一枚の絵画のようだ。
僕はそんな風に考えている。

他人にどう見えるのかはわかんないんだけどね、

自分には、この人生は間違いなく自分で塗りつぶして来た。
この絵は、自分の人生なんだ、

そういう実感があるんだ。

さっきも言った通り、理屈をこねるのではなく、インスピレーションを共有するにはどうすればいいのかって考えた末の発想だから、

まるまんまこれが見えたっていうわけじゃないし、

毎日せっせとカラフルな棒を壁に貼って言ったら本当にそう見えるのか?って聞かれると、自信は無いよ。

でもね、この話をこのブログに載せてもらったときに、物凄い反響があった。
その中には、実際に何度か病気で死にかけて僕と同じように人生を達観している人も多くいて、

すごく伝わっている感があった。

だから正確性は置いておくとして、多分そう的外れな終末観では無いんだと思ってる。

だから、これを聞いているみんなにとっては一本の棒にしか見えないかもしれないけど、
遠くない将来にきっと共感してもらえると思う。

意味付け

この風景にどのような意味付けをするのかはそれぞれの感性になると思うんだけど、

僕が最初にみた風景には、なんというか、怖さを感じた。
ここの下りは、ブログではクドくならないようにあっさり2行くらいで書いたけど、実はもっと色々言いたいことがあった。

さっき、「できればやりたくなかったけど、やり直すとしてももう一度やらざるを得なかった時間」の定義が難しいって言ったでしょう?
そこに嫌いな色を塗れって。
普段意識しないと、ほとんどの時間をここに当てはめて、暗い色を塗りこんじゃう。
だから、僕の人生は全体的に暗い色で塗りつぶした人生だった。

でも、本当にホラーなのはここから。

「やらざるを得なかった」と思い込んでた時間は、ほとんどが本当は「どうでもいいもの」だった。

それに気がついた途端に、意味づけを失った色が、どんどん溶けていく感じ。

元から無いものは、無くても気にならない。

でも、みるみるうちに、何もなくなっていく。
この変化が怖い。

色が無くなっていく様は、まさに「空虚な絶望」に感じた。

前回のラジオでも
「人から求められる正しい生き方」は、空虚な絶望を生むといった。

自分の価値観に由来しないから意味付けできない、最後の最後で自分の価値に変換できない。
そういった時間が、ドンドン無色に抜けていく。

そのありさまを、ブログに載せてもらった記事にこう書いた。
僕の人生であるにもかかわらず、僕のために使わなかった時間が無色に僕の人生を蝕んでいた。僕の人生は僕が思っていたよりも無色だった。

このフレーズはものすごく多くの人から反響があった。
素直に嬉しかったよね。

心掛けていること

自分からできることは、実はあまり多く無い。
前にも言ったけど、好きな時間を増やしたり、嫌いな時間を減らしたりっていうのは、いうほど簡単じゃ無い。
よほど人生に何かの達観を持たない限り無理。

せめて、時間の色を意識することくらい。
「いま、この瞬間はどの色のペンで塗ることになるのだろうか」

いま、真っ茶色だよ、むしろ黒紫とか、、、色があるだけまだマシか、なんて。
あるいは、この1ヶ月くらい、何やってんだ俺?
意味あんのか?自問自答してる段階で無意味なんじゃ無いか?

時間の彩りを意識する。
この意識を持つだけで、時間の使い方は大きく変わる。

いつか振り返る人生が大きく変わる。

そろそろこの議題のまとめに入ろう。

新しい座右の銘「時間を無駄にしない」とは
振り返った時に見えるように色を塗っていくこと。

「時間はナマモノ、旬を食べる」とは、
なるべく鮮やかな色で時間を塗りつぶすこと

この2つに尽きる。

いま、この瞬間にやっていることが自分にとって何なのか、常に自問しよう。

やりたいことを出来る時間は大切だ。
ボーッとする時間も大切だ。
人に会うこと。
将来のために今の布石を打つことだってもちろん有意義だ。

それを振り返った時に、どのタイミングで振り返っても満足だったと思えるならば、良い使い方をしたということ。

勘違いして欲しく無いのは、嫌いな色も無意味じゃないってこと。
消えてしまうような、まがい物の時間じゃ無い。
これは、
あなたの人生を形作るために必要だった時間たちだ。

これがあるから、好きな色を塗ることができる。

今日、描いてもらった一本の帯は、一本一本折り重なる。

いつか、あなたにしか意味付けできない抽象画として、

今際の際に目の前にきっと現れる。

いつかそれを見るあなたが「これを描くために生きた」と満足できるものであって欲しい。

もちろん、なるべく遠い未来であって欲しいけど。

シンポジウム1 人生観についての対談しましょう。

書評というか、オススメ図書も1つ。

あれから、死にかけ体験を持つ人にすごく反響があった。
こういう話って、順風満帆だったり、若い人には逆に響きにくいのかも。

20年前に僕がこの話されて、響いたかっていうと、正直微妙。

「死ぬ瞬間の5つの後悔」
本当いい話。介護職で、患者さんの終末期に関わった著者が書いた本。

最後を迎えた人の後悔を元に、どう生きるべきって話が書いてある。
なんかもう、このラジオ聞いてる場合じゃ無い。

1、自分に正直な人生を生きればよかった
2、働きすぎなければよかった
3、思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
4、友人と連絡を取り続ければよかった
5、幸せをあきらめなければよかった

僕の寝言なんて、全部パクリだった。
ただこの本、あまり強調されてないけど、さらりとすごいことが書いてある。

「最後を迎えた人が大事にすることは、愛する人をどれだけ幸せにできたか、好きなことにどれだけ時間を費やしせたか。また、彼らに自分と同じ後悔をさせたくないと思っている。」

この最後の部分にはすごく共感できる。
ブログ記事書こうって思った程度には。

生きることの意味を解く書籍は山のようにある。
びっくりするほどある。

何がびっくりかって、こんだけあるのに今までほとんど気にしたことがない!内容もほとんど同じ!ホントもう、大丈夫かってほど同じようことが書いてある。じゃあ、全然売れてないのかっていうと、どれもびっくりするほど売れてる。

いったい、誰が読んでるんだ?と思って、ハタと気づいた。
ああ、僕だ。
僕みたいな人が、自分の人生に何か困難を抱えた人が、読むんだ。

だから今まで気がつかなかったし、みんな人生に同じ結論を持っているから、同じ内容でもいいんだ。
僕らは共通の認識を、それぞれの筆者が自分なりのやり方でそれを人に伝えようとしている、そのテイストを嗜んでいる。

だから、ピンとこない人にはピンとこない。
全部同じじゃん!ってなる。
多分余計なお世話なんだよ。

でもね、僕も余計なお世話って思ってただろうクチだからこそ、なおさら伝えたいんだろう。
さっき紹介した本にあった通り、同じ後悔をさせたく無いって誰もが思っていて、だから同じような本が山ほど出ているんだろう。

昔の僕みたいな人間に、文章で説得してもダメだ。
ダメな自信がある。

ロジックでは無く、インスピレーションに訴えかけるやり方じゃ無いと動かせない。

だから僕は視覚をキーワードに選んだんだけど、多分これもすでに試された方法なんだろう。
絵画にはそう言ったテーマで書かれたであろうものがたくさんある。

天使や光を題材にしたものには、何かすごくグッとくるものが多い。
その辺を集めるのは面白いかも。

僕が試すとすれば、動的な表現ができるプレゼンテーションか。

あるいは動画か。。

今話していて、急に思い出した。
ネバーエンディングストーリーだ。
世界が虚無に喰われる感じ。
小学生の時にみた映画が原風景か!パクリだ!
ヤベェ。
映画ネバーエンディングストーリー、すっごい古い映画だけど、多分今見ても楽しめるはず。ぜひ見てね。

3話告知!エッセンシャル思考

我々のメッセージの根底って、自力でひねり出したものも多いけど、ひねり出したメッセージを読んだことのある本などと照らしつつ展開する、あるいは、本で読んだことをトランスレーションすることにあると思う。

これは研究者の本能みたいな能力。

書評1つ取ったって、「こんなことが書いてありました」ってだけじゃあんまり意味ない。

本が持っているメッセージをどう咀嚼したか?というところに個性が出るだろうし、違う飲み込みかたをしたっていうのもまた面白い。


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