論文作成

医師が論文を書くスピードをアップするためのコツ

医師が、日本語論文や英語論文を書く際、スピードアップするコツをご紹介します。

論文を書く際のボトルネックは、最初の一文を書くのに時間がかかること

いきなり論文のintroductionから書き始めてはいけない。

論文を書き始める際、やってはいけないのが、いきなり論文のタイトルや、はじめに(introduction)を書き始めることです。初心者がついつい、やってしまいがち。なぜ、いきなりintroductionから書き始めたらダメなのでしょうか?

結論からいうと、最初に書き始めるのにベストな場所は、Patients and methods(対象と方法)です。この部分は、論文の中では非常に書きやすい場所です。なぜかというと、書き方に自由度が少なく、定型化されているためです。今回研究は、男性○名、女性○名を対象とした。平均年齢は○歳(○〜○歳)であった。という感じで、書くべき内容が決まっているので、一番書きやすいのです。

論文を書く順番でオススメは以下のとおりです。

1.Patients and methods(対象と方法)

2.Results(結果)

3.Discussion(考察)

4.Introduction(はじめに)

5.Abstract(要旨)

6.Title(タイトル) 

Introductionというのは、実は、論文の結果や考察を書き終えて、論文の全容が理解できた上で、「なぜ、今回の研究を行う価値があるのか?」という魅力を読者に伝える必要があるのです。ですから、論文の全容がわかっていない時点では、そもそも書くことができないパートなんですね。

論文をあえて、中途半端な場所で作業を終えておくと、次の日書き始めやすい。

これは、意外かもしれませんが、ちょうど区切りの良いところで、論文を中断して、翌日に書き始めるよりも、あえて中途半端な場所で作業を終えておくのがコツです。そうすると、「その日最初にすることが明確になっているので、第一アクションが起こしやすい」というメリットがあります。慣性の法則ではありませんが、止まっているものをうごかす(思考もいっしょ)のに力がいりますが、いったん動き始めると、あとは特に意識しなくても、次々に作業がすすんでいきます。

頭が疲れていないゴールデンタイムを利用する

論文を作成する作業は、非常にクリエイティビティの高い、知的労働を必要とします。外来、病棟業務を終えて、疲れ切った頭で作業を開始するのはかなり厳しいです。それよりは、むしろ土日の朝とか、仕事が始まる前の1時間といった感じで、頭が疲労から一番回復している時間を使うのが良いでしょう。

集中できる、時間と場所を確保する

せっかく、論文を書き始めたのに、携帯電話がなって、病棟から指示を聞かれたりすると、集中力が途絶えてしまいます。一般に、看護師さんが勤務交代の時間(17時前後)は、申し送りの際に、主治医の意見を確認するようにいわれたりして、電話がなりまくります。ですから、論文を書くのであれば、やはり、朝一番が良いのではないでしょうか。場所についても、自宅で集中できるという人もいれば、スターバックスなどのカフェのほうが集中できるという人もいるでしょう。

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1日1段落書く。という風に達成しやすい、小さな目標をつくる

忙しいと、ついつい、「今日は忙しいから、明日にしよう」と論文作成を先送りしてしまいがちです。ですが、前回論文を書いてから、次に書くまでの間隔が開くと、どこまで書いていたかの記憶が曖昧になり、効率が悪くなります。それよりは、「毎日1段落は最低でも書こう」という目標をたてて、少しずつでもよいので、毎日論文を書き進めるようにしましょう。

まとめ

論文を書くのは、とても大変な作業のように思いますが、実は、やることを細かく分解してみると、結局は、一文を書く。一文を書く。という作業の積み重ねであることがわかります。一文を書くという作業を、毎日コツコツと積み上げていけば、自ずとゴールが見えてくるはずです。