論文作成

抄録・論文作成に有用なキーワード連想法とは

医師になったばかりの研修医の先生や後期研修医の先生にとって、学会発表の抄録を作る作業って、結構大変ですよね。今回は、学会抄録を書く際役立つ知恵を共有したいと思います。


学会抄録をタイトルから書き始めてはいけない

よし。学会抄録を作るぞ。と意気込んでWordを立ち上げます。最初にタイトルと打ち込んでしまいがちですね。でも、抄録のタイトルを書くのは、作業の最後にしましょう。

STEP1キーワードを思いついた順番に入力する

最初にすることは、思いついたキーワードをとにかく打ち込んで行く作業です。連想ゲームみたいなやり方ですね。
こんな感じです。

老人 骨粗鬆症 骨が折れやすい 転ぶと折れる 冬に多い 折れると手術が必要 手術にはリスクがある 感染 骨がつかない(偽関節) 早期に手術しないと死亡率上昇 女性に多い 寝たきりの原因 早期荷重

STEP2キーワードを並べ変える。カテゴリーに分ける。

先程のキーワードを並べ替えます。抄録・論文に不要と思われるキーワードはこの時点で削除します

はじめに 骨粗鬆症 転ぶと折れる  折れると手術が必要
疫学 老人 女性に多い
保存療法のデメリット 寝たきりの原因 早期に手術しないと死亡率上昇
手術のメリット 早期荷重
合併症 感染 骨がつかない(偽関節)

STEP3カテゴリーにわけられた単語をつないで文章にする。

はじめに
骨粗鬆症性の大腿骨近位部骨折、高齢者が転倒することで受傷し、手術を必要とされる病態である。高齢女性に多いとされていため、保存療法を選択したくなることも多い。しかし、保存療法を選択した場合は、寝たきりの原因となること、早期に手術をしないことで死亡率を上昇させてしまうといったデメリットもある。手術のメリットとしては、早期荷重が可能となる点があげられるが、合併症として深部創感染や偽関節といったものが生じる可能性もある。

コツはとにかくたくさんキーワードを入れること

この方法のメリットは、最初のステップ、すなわちキーワードを入力する作業のハードルが低く、すぐにはじめられる点にあります。実際にやってもらうとわかりますが、思いつくキーワードを書くだけならストレスが少ないのです。論文作成も、慣性の法則に近いものがあり、最初に動かすのに力が必要ですが、実際に書き始めてしまうと、あとは力を使わなくても作業がすすみます。最初に簡単な作業をするのが論文作成のコツです。そして、キーワードは連想ゲームの要領で、使うか使わないかわからないものも含めて、できるだけたくさん書くことがポイントです。そのキーワードに肉付けしていくイメージなので、キーワードが多ければ多いほど、文章をたくさん書くことが可能になります。