医学生のうちに

医師になったらゲームのルール変更を意識しよう

小学校から医学部までは実力勝負の世界

小学校から医学部6年生までは、良い意味での実力勝負です。ルールが明快で、かつフェアです。この期間は、試験でハイスコアがとれるかどうか?という非常にシンプルなルールの中で生活をすることになります。試験で高い点数をとっているのであれば、勉強るすしないも自由ですし、周囲に気を使う必要もありません。試験は、結局自分がやるかやらないか?でスコアが決まりますし、試験中に妨害されたり、足を引っ張られることもありません。自分が頑張ったら、頑張ったぶんだけスコアが伸び、ライバルとの勝負に勝つことができる世界です。実力勝負、明確なルール、フェアな戦いと言えますから、スポーツに近い。これが、社会人になると、全く別のルールに変わります。

医師になったあとのルール変更

医学部を卒業して、社会人になるとルールが一変するため、戸惑う人がでてくるかもしれません。医師になったあとは、試験で点数を競い合うことが一切なくなります。それまでの人生では、勝ち負け(優秀かどうか)を判定する唯一のルールが、試験の点数だったわけですが、社会人になるとそのゲームが無くなってしまいます。
社会人になった後は、複雑系の世界に突入します。勝ち負けという表現は正しくありませんが、「組織内で出世するか、しないか」、「給料が良いか悪いか」、「資産の多寡」、「奥様が美人かどうか」、「持ち家があるかないか」といった感じで人生のあちこちで勝負がはじまります。勝負というよりは、価値観の違いといえます。そして、ルールが複雑化します。
組織内で出世するか、しないかといった事象を考えてみるとわかりやすいですが、「絶対的な評価の基準」がなくなります。論文をたくさん書いたかどうか?といった目に見える成果よりも、「上司に上手にゴマをすれるかどうか?」、「組織の空気を忖度して、上司の求める行動を先回りしてとれるかどうか?」、「遅くまで病院に残って仕事をしたほうがよい」といった感じで、正直よくわからない空気感の中で、人それぞれが頑張るしかないという状態になります。

自分が追求したい価値観を大切にしよう

社会人になったあとも、人生のあらゆる場面で、仮想の他人との勝負を続けて、勝敗を競い合うことほど不毛なことはありません。組織内政治にフルコミットして出世して、若いうちにマイホームを購入して、きれいな奥さんと結婚して、盛大な結婚式を開催して、子供を私立校に入学させ、エリート教育を行ったとします。医学部に入るまで、勝ち続けてきた人達ほど、人生のあらゆる勝負で負ける(勝負から降りる)ことを許さず、目の前の勝負に常に勝ち続けてきた結果、40歳を過ぎたころから、地位材(マイホーム、マイカーなど)のローン、子供の多額の教育費などが原因で、くびがまわらなくなってしまい、雀の涙ほどのお小遣いで、土日もアルバイトを続けざるを得なくなってしまいます。
それよりは、他人と自分を比較するのではなく、自分の中で大切にしている価値観を見極めて、その価値観を大切にする生き方の方が合理的だと思います。もちろん、サラリーマンとして、勤務医を続けていくのであれば、組織が求める医師像を意識しつつ、そこから逸脱しないように気をつけることは大切です。ですが、自分でも気づかないうちに、学生時代と同じように常に目の前の勝負に勝ち続ける道を選択してしまうと、人生の後半戦でクビが回らなくなることも多くあります。自分がゆずれない場所を限定して、局地戦で勝ち、あまり自分の価値観とは関係ない領域は、気持ちよく勝負を降りるというのも大切かもしれません。

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