いまだ金時ラジオ

いまだ金時ラジオ 第9回 ニュータイプの時代

博士
博士
今回は、過去最長のコンテンツ、ボリュームになりました。
フランケン
フランケン
それだけ、面白い本ってことですね。
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ダイヤモンド社
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開会の挨拶

開会の挨拶
なぜこの本なのか?

さて、今回はガンダムの話ですよ。ガンダム。
ニュータイプとか言ってますから。まあガンダムは一瞬も出てこないですけど。

前回のいまだ金時ラジオが終わって、次何やろうって言った時に、どちらともなく「ニュータイプの時代」だろう、って話になった。
僕らが何タイプかとかいう話は置いといて、とにかくビンビンくる内容の話なんですよ。

僕らは自分のキャリアをどうデザインするべきかっていう話をこのラジオでやってきた。エッセンシャル思考、コネクティングドット、クリックモーメント、錯覚資産、フラクタル、スモールワールド
そしてそれを実践する嫌われる勇気
運用するときのマネーの文脈、すなわちバリューとクレジット(ゴッホとピカソ)の扱い方。

今回は、順番が前後するけど、1番最初のスタンスに関わる話をします。
ビジネスに携わる人間の基本スペック、ここについての解釈の話題になります。

この本は、かなり内容が濃い。読み応えがある。
そして、今回のコンテンツは過去最大ボリュームになる可能性があります(笑)聞き始めた方は覚悟しておいてください。

著者である山口さんのかっこいいセリフ(冒頭)
この本は少々大げさな言い方をすれば、資本主義の脱構築に関する本だ。

いきなり難しい括り方しましたね。脱構築とか言って、ついてこれるリスナーがいるっていうのがこのラジオの変なところではあるんですが。
脱構築、デリダですね。橘玲の「読まなくていい本の読書案内」で出てきました。飲茶先生の本にも頻出です。
要はですね、「構造そのものをぶっ壊さずに、構築要素の上下、あるいは主従をひっくり返すことで、別の価値観を生みましょう」ってことなんですけど、なんかむしろわかりにくくなっちゃいましたかね?

本の構成としては、「古いスキームでは当たり前とされていた考え方」これをオールドタイプと称して、それに対して「これからの世界ではどの様に考えるべきなのか」を提案する、それを実践できる人種がニュータイプだよって、対比させていく構成となっている。

1番大きなメッセージとしては「問題の希少化」というパラダイムシフトで、これがどういうものかをひとつづつ解説していくのがテーマですね。
その辺りの触りを博士の方からお願いします。

それでは、本の中から気になるフレーズを抽出してきます。
・20世紀的優秀さの終焉
従順で、論理的で、勤勉で、責任感が強い。いわゆる優秀な人材は、今後「オールドタイプ」として急速に価値を失う。
一方、オールドタイプに対して、自由で、直感的で、わがままで、好奇心の強い人材は、「ニュータイプ」として今後は大きな価値を生み出す。

これは今まであるべきと考えられている人物像ってやつを全否定する入りですね。

・モノが過剰になり、逆に「問題」が希少になっている。人類史上初めて「問題が希少で解決策が過剰な時代」に突入する。
正解を出す能力、問題を解決する能力の価値が減る(MBA、人工知能など)論理的に同じ回答にたどり着く

それに伴って、
問題を発見できる人に価値が生まれる
イシューからはじめよ という書籍の中でも、目の前の課題を手当たり次第に解決していく方法を犬の道とよんでいて、フォーカスすべきは、「自分が解決すべき真の課題」を見極めることと書いている。問題が希少で、解決策が過剰な時代というのがキーワードになります。

6つのメガトレンド
・飽和するモノと枯渇する意味
・問題の希少化と正解のコモディティ化
・クソ仕事の蔓延
・社会のVUCA化
V = V o l a t i l e (不安定 ) 、 U = U n c e r t a i n (不確実 ) 、 C = C o m p l e x (複雑 ) 、 A = A m b i g u o u s (曖昧 )
・スケールメリットの消失
・寿命の伸長と事業の短命化

イントロで結構お腹いっぱいですね。
でも、この本はこの辺りの内容の解説と、これを意識してどういう戦略で生きていくべきか?というか、ニュータイプはどう考えるのか?ということを順を追ってわかりやすく教えてくれます。
この辺のストーリーラインが一本化しているにもかかわらず扱う内容の幅が広いところは技術ですよ。圧巻。最近垂れ流しているメッセージをひとつのストーリーラインにまとめ込む作業をしているので、この山口さんがいかに天才かを思い知らされます。それを感じさせないのがまたかっこいい本ですよ。

この本は全部で9章からできていて、最初の一章二章が大枠を説明するパートで、この本が推す「ニュータイプ」なあり様が何故求められるのかっていう話が書いてますね。

三章以降で、ニュータイプの戦略、思考、スタイル、マネジメントなどについて書かれている。この各論ではとても全部網羅できないので、僕らがそれぞれ気になった部分についてピックアップして紹介していきましょう。

主題1 飽和するものと枯渇する意味

さて、まず
・メガトレンド1と2
ここは2つまとめて扱いましょう。
この本の主張、というか主張の根拠は、ほぼほぼこの2つのセクションに詰まってると言って良いでしょう。
だから、もしこの本を試しに立ち読みしてみるんなら、ここをお勧めしますよ。どうせ買うことになるからどっから読んでもいいですが。

ニーチェ 現代人が「意味の喪失」という問題に陥り、ニヒリズムに捉えられることを予言。ニヒリズムとは、「何のために、という問いに対して答えられないこと」

意味の持つパワー
意味を与えると人は豹変する。イエスキリストの12人の弟子。「キリストの福音を世界に述べ伝える」という意味を持った後に炎の伝道師へと豹変した。
これから先、多くの組織において中核をなすことになるミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になる世代)の人びとは意味の有無に対して極めてシビアな評価視点を持っている。草食系?いつの時代にあっても、その時代の若者というのは、常にその時代に足りないものについてハングリーになる。モノが溢れる一方で、意味が枯渇している社会においてモノに対してハングリーになれないのはあたりまえ。
スティーブ・ジョブズは、アップルのミッションを尋ねられた際に「人間の知性にとっての自転車をつくる」と回答。何のために存在する会なのかという問いに対して、明確な意味を与えている。

モノの飽和と意味の価値という流れが最初のメガトレンドとして紹介され、意味の価値に注目する存在が、続く章で強調されています。
ここで出てくる人物像が2つ、
まずは「プロブレムソルバー」そして「アジェンダシェイパー」という概念。
意味の価値を意識した時に重要であるのは、アジェンダ、問題を作り出す能力が問われるということです。
そのためには、現状から意味を抽出する能力がなければいけない。

この本の中では
「ニュータイプとは 、自分なりの理想像を構想することで 、目の前の現実とそのような構想とを見比べ 、そこにギャップを見出すことで問題を発見していく人」
として定義され、また、オールドタイプの問題点としては
「問題の不足 」という状況は 、 「世界は、人間は、こうあるべきではないか 」ということを考える構想力の衰え、即ち「ビジョンの欠如」だ

と述べられています。
ここからの時代、前者のニュータイプが問題を抽出することで価値が創出されるよ、っていう論調になっています。

これ、理解はできるんですが、厳しいです。これは果たして「よーし、ニュータイプになるぞー」って言ってなれるもんでしょうかね。ここについては議論の余地があるような気がします

・問題の希少化と正解のコモディティ化

かっこいいけど絶望的な文章を抜粋します。
『ビジネスは 「問題の発見 」と 「問題の解決 」が組み合わされることによって初めて成立します 。したがって 、両者のうち 「少ない方 」が常に社会的なボトルネックとなり 、そのボトルネックを解消できたプレイヤ ーには大きな価値がもたらされます 。』
このボトルネックが変化したっていうのがこの本の趣旨ですね。
問題の解決は、もうできる。だから、問題を解く能力はすでに価値を失いつつある。今までの資本主義がありがたがってきた「プロブレムソルバー」っていう価値は陳腐化するつまりコモディティ化するって言ってます。
絶望ですよね。

「僕は君たちに武器を配りたい」滝本哲史(たきもとてつふみ)
ではコモディティのリスクがさらに鋭く指摘されています。
ちょっと紹介しましょう。

『経済学では「スペックがはっきりと定義できるもの」従って、モノも、サービスも、人の価値に至るまで「個性のないものは全てコモディティ」である。』
なんと痛快なことか。

自分がコモディティであることを受け入れるのであれば、経済学が証明した通りに、医師の限界効用はゼロまで下がる。

2番じゃダメなんですか?
1番ですらダメです。スペックが定義できて、優劣の俎上に乗せられてしまっているのだから、皆コモディティだ。限界効用はどこまでも下がる。

誰でも特別なオンリーワン?
コモディティが価値を失う世界では、価値のないオンリーワンなんて無意味です。
「価値ある特別なオンリーワン」しか認めないというマッチョな世界だ。
全く優しくない世界ですよ。

この本では「個人のコモディティ化」という命題を突き付けている。
「同じような能力であれば、誰かと交換しても大差ない労働力になりさがる」わけです。
じゃあ、差別化のために資格を手に入れよう、TOEIC800点を獲得しよう。とか考えるでしょうか。
その職業の募集要項が、「要資格、要800点」だった場合には、全員が同じスペックだ。あとは限界効用ゼロを目指して売り手の安売り合戦になる。

資格を持っていれば安心?
Noですよ。
いわゆる師業、弁護士、医師、会計士、なんでもいいが、資格が参入障壁になっている職業は全て障壁内ではコモディティ化している。

オールドタイプはこれをなんとかするために、別のアプローチをします。
具体的には結束します。
参入障壁に守られた狩場に一致団結して魚を追い込み、よそ者が塀の中の魚を取れないようにする。その上で塀の中では、コモディティ化した構成員がダンピングで個人の商品価値をぶっ壊してしまわないように目を光らせて、共産主義を敷いている。誰も出し抜くやつが出ないように。
この世界は、コモディティからの逸脱をタブー視すらします。

だから、自分というユニットがコモディティ化するのを防ぐのは並大抵の能力じゃないです。「わかる、理解できる」というだけでもうコモディティですよ。「わからない、理解できない」という人材、これになるのは難しいです。

ちなみに、年取ったオールドタイプっていうのはもうしょうがないと思うんですけど、僕が個人的に問題視するのは「若いオールドタイプ」がいわゆる甘えとして自分がコモディティであることを肯定するケースです。

これは批判があるかもしれないけど、上司による指導を過度に要求する論調ってあるでしょう?あれ、どうかと思うんですよ。

「できるように指導するのが上司の仕事だ」
「部下の無能は上司の指導力の問題」
が成り立つなら、その仕事は習えばできる「コモディティ」なので、限界効用ゼロを指して給与は極小になります。
指導されてできるようになる程度の仕事でバタバタしてるようだと、正直その先なんて無いんですよ〜とまで言うと、また叩かれますかね。
でも、差別化が生じるためには「習得の格差」が必要。
そして「教えられた仕事で差別化」はできないことは知っておこう。

ちょと離れちゃいましたね。
コモディティ、これはスタンスとしてのリスクである、ということを明記してくれ、というのがここのコンセプトでしょう。

まとめ
目の前の課題を手当り次第解決していくことが求められた時代がかつてあった。でも、それを続けているとコモディティという入れ物の中に入れられてしまう時代になりつつある。そんな中で、重要になるのは、「自分なりの生きる意味」を再定義すること。まさに哲学が求められているのであります。

主題2クソ仕事の蔓延

メガトレンド3

クソ仕事の蔓延
失業は生産性向上の末に達成された歓迎すべき状況である
ケインズは、100年前に「生産性の向上により週に15時間働けば十分に生きていける社会がやってくる」と予言。でもそうはならず、本質的な価値を持たないクソ仕事(虚業的労働)が蔓延している。

お金が儲かるなら意味のある仕事だ、俺は金を儲けているから偉い的な戯言をいうバカはケインズを読むべき。例えば「生きていくためにお金が必要で、お金が稼げるけど誰の役にも立たない、誰かに害をなす」みたいな仕事って、本来あるべき仕事の姿ではないんだよ。本質的な意味なんてなくなっちゃってる仕事、これらをケインズは「穴掘り」って言ったのよ。
ケインズって、間違ってたよって言われることが多いけど、それでも「資本主義の成熟期には雇用を創出するためだけの仕事、すなわち生きるための日銭を稼がせるだけの本質的な意味のない仕事で溢れかえる」っていう予言ばビッタリ当たってると思う。この話題を深掘りしたい人は、ニーチェからボードリヤールからのケインズという流れを辿ると面白いですよ。飲茶先生の14歳からの哲学入門がそれにあたる。

僕ね、お金を持ってるから偉い、偉そうなことを言っても許される、っていうスタンスの人間が大嫌い。そういう人いるでしょ?嫌い。
同じように、誰かがなんか言った時に、でもお前お金持ってないじゃん。そんな奴の言うことは説得力がないよ、とか、偉そうなこと言いたいなら金稼いでから言え、とか言っちゃう輩も大嫌い。
それをいう人って、自分で自分のありようを否定している。
1億儲けてるからって、500万の人の言うことを否定する人は、10億儲ける人の言うことを無条件に受け入れるって言う意味だよね。でも、絶対それを受け入れることはないじゃん。稼ぐ奴が偉いって言う意見は単なる弱いものいじめだよね。

さて、クソ仕事、ケインズの穴掘りに戻るけど、この本では、クソ仕事の蔓延が仕事から意味を奪う、その意味の失われたクソ仕事をオールドタイプが永延に作り出し、破綻しないだけの無意味な資本主義を継続させる、という話をしています。「仕事に意味を抽出しろ」クソ仕事がクソ仕事であると気づくためには意味に注目しろって教えてくれる。これはとても実践的で具体的なメッセージだ。
この仕事、何の意味があるの?て聞いた時に「意味なんてないよ、仕事しろ仕事」って答えちゃう先輩にはなったらダメだよ。そういう人を捕まえて「昆虫みたいな人生」ってラジオで言い放ったら、ちょいちょいお叱りを頂いた。でも、目的意識のない人生送ってる人って、僕には昆虫の人生と区別がつかない。これ、本気で言ってますよ。ゴキブリは3億年以上にわたって種を繋いできたけど、身体のちょっとした変化を除いて3億年前と変わらない人生、虫生?を今も送ってる。飯食うために今日を生きる、みたいな人生を3億年続けても、多分その種族が別の何かに進化することはないんじゃないかしら。せいぜい電車の代わりにロケットを使ってる程度で、個体の人生の意味なんて大した変わらないと思うよ。

僕が感心したのは、この命題は経済学の中ではテンプレになるほど繰り返されてきたロジックであるにもかかわらず、山口さんが提唱するニュータイプ論にスルッと入れ込んでくるところだよね。この本、こういう芸術的を通り越して悪魔的ですらあるロジックの刷り込みを随所にしてくるところだよ。
こういう人のセミナーは多分危ない。僕なんか一気に信者にされちゃう自信がある。
またちょっと脱線した。

メガトレンド4
・社会のVUCA化
V = V o l a t i l e (不安定 ) 、 U = U n c e r t a i n (不確実 ) 、 C = C o m p l e x (複雑 ) 、 A = A m b i g u o u s (曖昧 )
経験の無価値化、予測の無価値化、最適化の無価値化

未来は予測するものでなく構築するもの。未来がどうなるかではなく、未来をどうしたいか?を考える人がニュータイプ。

僕、VUCAの話が苦手で苦手で。
よくわかんないんですよね。わかんないのが本質っていうのがまた難解で。

ここで覚えておきたいのは、VUCAな世界では、様々のものの定義づけが行われる前に次の状態に遷移して行く、ということです。だから、経験を貯めて、計画して、必勝法を求めて、という過去のスキームが威力を失うということでしょう。この話はスケールメリットの話題でもう一度出てきます。

メガトレンド5と6

・スケールメリットの消失

役に立つではなく、意味があるで差別化をはかる。
役に立つは、勝者総取り。インターネット検索エンジンのGoogle。1位のパフォーマンスを100。2位のパフォーマンスを90としたときに、報酬がその比率になることはなく、市場で生き残れるのは最も優れた検索エンジンのみ。
(役に立つではなく)意味がある市場では、多様化が生まれる。コンビニエンスストアでは、ハサミやホチキスといった役に立つものは、原則1種類しか置かれていない。そのような厳しい棚管理がなされている中、コンビニで1品目で200種類以上取り揃えらてている商品がある。それはタバコ。タバコは役に立たないけど意味があるもの。ある銘柄が持つ固有ストーリーや意味は他の銘柄では代替できない。マルボロを愛している人はセブンスターを買わない。

最大公約数的な価値っていうのは万人に常に受け入れられるって訳ではないということですね。
あるいは、なんらかの「意味」に関連づけられたニーズはビジネススケールの中で色あせない。

グローバル化が進むほど役に立つ市場の頂上は高く、狭くなりごくごく少数のグローバル勝ち組企業が独占する。一方で、なんらかの意味にフォーカスを絞ることで「グローバル×ニッチ」というブルーオーシャンが生まれる。
意味はコピーできない。矢沢永吉はコピーできない。

スケールメリットについてはとても面白い。
特にグローバルニッチという考え方がシャープ。
実は僕はこのセクションが1番好きなんですけど、このラジオを聴いてくれているクラスタにはちょっと離れた話題になるかもしれない。
スケールメリットというのは何かというと、巨大資本と大規模コマーシャリングで、マーケットを総取りするという考え方。これは売れる、というものが定義できれば、工場をドカンとたてて、テレビCMをガンガン打って、大量生産大量販売を狙う考え方。これまでの世界では、有効な戦い方だったって取り上げられてる。でも、今後はこの考え方はあまりうまくいかないだろうって、考察されてる。

『サブスケールの個人事業主が 、各々の関心や意図 、求めている 「意味 」に応じて精密にコミュニケ ーションをとることが可能になりました 。これを逆にいえば 、大量に作った製品を大量の広告によって告知し 、巨大な流通機構に乗せて売りさばくという 、かつての必勝パタ ーンであった 「スケ ールメリット追求型のビジネス 」の方こそが 、メディアと流通のありように対して齟齬をきたすようになっているということです 。』

この話はここでやるとながくなるので、後ろに回しましょう。
今は、「6つのメガトレンドとは何か?」という触りを簡潔に、というセクションですので。

・寿命の伸長と事業の短命化
『2 0歳前後で働き始め 、 6 0歳前後で引退するという時代にあっては 、多くの人が現役として働く期間よりも 、企業の平均寿命の方が長かったわけですが 、今日 、この関係は逆転し 、多くの人が現役として働く期間の方が 、企業の平均寿命よりも 、ずっと長いという時代がやってきてしまったということです 。』
このほんで山口さんは、原理的にキャリアチェンジが必要な世界になっていくのだから、いわゆる「一所懸命」みたいな倫理観が意味を持たなくなっていくだろうって言うわけです。
全く同意ですよね。

主題3博士の注目ポイント

第4章8
論理と直感
オールドタイプ ▼論理だけに頼り 、直感を退ける
ニュータイプ ▼論理と直感を状況に応じて使い分ける

過剰なもの。正解、モノ、データ、利便性、説得、競争
希少なもの。問題、意味、ストーリー、ロマン、共感、共創
過剰なものは「論理と理性」によって生み出される。希少なものは「直感と感性」によって生み出される。過剰なものとして挙げられているものが、かつては希少なものだった。
希少なものとされる、ストーリー、ロマン、共感といったもの。これはまさにワンピース的な価値観であり、それが時代に求められているもの。でも、今は時代の過渡期なので、ワンピース的価値観だけで生きていける人はまだ少ないのかも。時代のトレンドではあります。

第5章
ワークスタイル
モビリティについて
オールドタイプ ▼一つの組織に所属し 、留まる
ニュータイプ ▼組織間を越境して起動する

複数の組織と横断的に関わることの重要性。
そのために、リベラルアーツが必要になる(後述)

ここは、おそらくコモディティを抜け出すために必要なパーツになるのではないかと考えています。
大企業による寡占化と企業に依存しない個人(フリーエージェントなどのスモールプレーヤー)の台頭というトレンドは現在進行している二極化の双極と考えるべき現象。

7章19
リベラルアーツ

オールドタイプ サイエンス(問題解決)に依存して管理する
ニュータイプ リベラルアーツ(構想力)を活用して構想する

S T E M ( S c i e n c e =科学 、 T e c h n o l o g y =技術 、 E n g i n e e r i n g =工学 、 M a t h e m a t i c s =数学 )としてくくられる理数系学位を得た学生は総じて給与水準の高い職に恵まれている。ところが全米で最も優れている人物、つまり年収の上位10%に当たる人びとの専攻を見てみると、政治学、哲学、演劇、歴史といったリベラルアーツ系科目が突出して目立つようになる。
「役に立つ」の軸に沿って目盛りを高めるのはサイエンスの仕事であり、「意味がある」の軸に沿って目盛りを高めるのはアートの仕事。
医師の多くは、STEM寄りの価値観を持っている。30代後半から40代にかけて、リベラルアーツを学べは、成長が加速できる可能性があると思う。

ジョブズは、カリグラフィー(美しい書物という意味)の美しさを知っていたからこそ、なぜパソコンのフォントはこんなに醜いのか?という疑問を持てた。

組織の上層に行くほど仕事の重心は、問題の設定へと傾斜し、組織の下層になるほど問題の解消へ傾斜する。
リベラルアーツのリベラルとは自由という意味であり、アートとは技術のこと。リベラルアーツとは自由になるための技術ということ。

主題4フランケンの注目ポイント

3章5
限界費用ゼロ
「作りたいもの 」が貫通力を持つ

オールドタイプ ▼スケールを求めて市場におもねる
ニュータイプ ▼自分がやりたいことにフォーカスを絞る

メジャーとニッチ、ローカルとグローバルの話をちょっとしておきましょう。
今出てきた大量生産大量販売のモデルは、メジャー商品をグローバルに展開するという考え方です。もちろんハマればでかい。
スケールのメリットの減少について考えましょう。ローカルで獲得できた顧客層の割合、これが大きい、すなわちローカルメジャーというものを、グローバルに拡大したら何が起こるか?
顧客層の割合は維持できないっていうのがこの本の論旨です。
ローカルメジャーというのは、様々な要因から他の選択肢が無いという種極的な理由による顧客層が含まれている。グローバルなマーケットでは、この層がゴッソリいなくなる。この話はクリステンセンのイノベーションのジレンマに出てきます。
さて、じゃあ、ニッチって何?って話です。
ニッチって、簡単に言えば大きなトレンドから外れた小さなこだわりを持つ消費領域とでも言いましょうか。一言で言えばマイナー、ただ、単に数が少ないっていう意味ではなく、少ない代わりにそれを選択するモチベーションが強いニーズって言うべきでしょう。メジャーサービスでは満たされないニーズ。マニアックな何か。
マーケットサイズとしてはニッチは小さいと言えます。ローカルニッチなんていうのは相当に小さいので、大きな企業はあまりそこを重視しない。
でも、ニッチなニーズは、それじゃなきゃダメだという強いこだわりに立脚しているので、市場貫通力が強い。全体の1%しかいない顧客層である代わりに、その1%はそれ以外のサービスを求めない。
さっき出てきたタバコの例はいい例で、「タバコはタバコだろ、マルボロでいいだろ」って言ったところで、「ワシは若葉しか吸わん」っていうジイ様のニッチな要求を変えることはできない。
このニッチの市場貫通力の強さは、グローバルメジャーが失うスケールメリットっていうやつを保持しうるっていうのが、この章の骨子です。
これはシャープなんですよ。
ローカルメジャーがローカルでは持っていた50%というシェアを、グローバルにスケールアップすると30とか20%とかにシェアを失っていくのに対して、ローカルニッチが持つ1%はグローバルにスケールアップしても1%のシェアを維持しうる、すなわちスケールメリットが保持されうる、そういう理屈です。

これはガツンときますよ。
これね、実体験に基づく話なんで僕にはストライクです。

日本の中でのローカルニッチを熟成して、世界展開してグローバルなニッチマーケットをゼロから形成する、っていう仕事を進行形で複数手掛けていて、そんな時にものをいうのはやっぱりニッチユーザーがニッチデマンドを発生させる根源的な意味を理解することなんですよ。彼らが感じているコレジャナイ感を理解して、ニッチな彼らが潜在的にもとめている「ニッチな彼らにとってのあるべき世界」ってやつを想定する。
最初に出てきた通り、このあるべき世界とコレジャナイ感の差分が「問題」な訳だから、ニッチだろうがなんだろうが、ここに対する「答え」はサービスとして価値を持つ。市場貫通力を持つ商品になる。

これは別に具体的な商品だけの話じゃなくて、学術領域でも、人材でも、運用でも、すべてに当てはまるロジックだって痛感する。だから、なにかのチームを率いて結果を出さなきゃいけない立場の人は参考になると思います。

各論と深掘り3
ワークスタイルとモビリティ。
博士とフランケンが非凡な生き方をできているとすれば、ここに明確な意志を持っているからだと思う。
ここで取り上げたいテーマは2つ。バーベル戦略とモビリティ、言ってしまえばマルチポジショニングについてです。

第3章6
意味のポジションを取る

『経済学者のロナルド ・コ ースは 、なぜ経済活動のほとんどが市場による取引ではなく 、官僚的な大企業による管理と統制のもとになされているのかを研究し 、市場よりも 、企業内の方が情報流通のコストが低く 、より効率的に経済活動の調整ができるからだ 、と結論づけた 。今日 、コ ースが指摘した情報流通のコストは急速に低価格化が進んでおり 、労働市場で企業に所属せずに働くことのデメリットは相対的に小さくなってきている 。このような世界にあって 、従来通り 「オ ーガニゼ ーションマン 」として組織に所属する生き方は 、リスクばかりが大きく 、リタ ーンの小さいものになりつつある 。今後の世界は 、大企業による市場の寡占化と 、個人に代表される小規模組織の多様化 ・乱立という二極化が進むと考えられる 。このとき 、どちらの立場で仕事をするかが大きなオプションとなるが 、最もリスクが低いのは 「両方の立場にポジションを持って働く 」というバ ーベル戦略になる 。』

バーベル戦略については博士の真骨頂でしょう。
このバーベル戦略のポジショニングっていうやつが理解できない人がすごく多い。

基本的な考えとしてはブラックスワン、アンチフラジャイルで出てくる、90%の弁護士と10%のロックスターってやつですね。
この話は博士お願いします。

ナシーム・タレブ「アンチフラジャイル(反脆弱性)」の中で、バーベル戦略を提唱。90%医師、10%ロックスターという生き方。簡単に言えば、アップサイドとダウンサイドのリスクに非対称性のある仕事を組み合わせること。医師という職業は安定しているが、報酬が10倍に跳ね上がることはない。ロックスターのような生き方は、成功確率は低いが、成功すると報酬が青天井。ある程度安定した職業を片手で持ちながら、どこかで大化けするアップサイドのリスク(不確実性)を人生に盛り込んでおく。ちなみに、このラジオは私の中で、ロックスターに分類されるものです。失敗のリスクが限定的で報酬、マイクロインフルエンサーになる?は青天井です。ロックスター的なキャリアは、インターネットとの相性も良いですね。

山口さんがこの本で解いているバーベル戦略は、バーベルの左右に同じ業界を絡め取ってしまおうって言う、ややテクノカルなものになってる。
マーケットシェアは2極化する。
「役に立つ」の価値観では、GAFAのようなグローバルメガプレイヤーが独占寡占マーケットを形成する。
「意味を持つ」の価値観では、グローバルバルニッチがマーケットを分散・多様化させる。
こんな2つの山が1つの業界に現れる。
僕らが取るべきポジショニングは、グローバルニッチのポジションを取りつつ、「役に立つ」価値観の根源的なピットフォールである「コピー問題」にコミットするというバーベルポジショニングだ。
役に立つサービスはコモディティの中の最大資本が総取りする、でもその優位性は絶対的なものにはならない。価値をコピーされることで優位性が簡単に揺らぐ。それに対して、「意味」はコピーできない。マルボロを吸っている人はマルボロだから吸っているのであって、マルボロっぽい何か、が安かろうが意味を見出さない。

これは記号消費資本主義って言う別の閉塞した問題につながる命題なんだけど、今その話題はおいときましょう。興味が有れば、ボードリヤールでググってよね。

さて、まとめると、
ニュータイプのバーベル戦略としては、メガプレイヤーに「意味を付加する」ニッチな価値観を提供するというものになる。
これはなかなかに難しいですよ。

でも、考えれば頭ひとつ出る人って、みんなこういうバーベルポジショニングが上手い。
医療業界なら、学会って言う独占的メガプレイヤーにニッチミーニングをぶつける形でクレジットを構築している若者って、いっぱいいるでしょう?
教授レースをポクポク最下段から登るなんて戦略じゃ、スライドできない小山の頂上に閉じ込められて人生終わるよ。

努力が報われる、はミスリーディング。
個人が適性や置かれた場所におおいに影響を受ける。
これを無視する害念が1万時間の法則では、と山口さんは述べる。

『1万時間の法則が通用するのはルールが厳格化している分野に限る。楽器、スポーツなどがこれにあたる。知的専門職では費やした時間と成功の相関が極めて低いことが証明されている。』
また、1万時間の法則は形式論理学上の誤りがある。
命題:天才モーツァルトも努力していた
が正しいとして、
1万時間の法則が進めるのは対偶ではなく逆命題である。
逆:努力すればモーツァルトのような天才になれる。

逆は真ならず、対偶は真なり。

この命題の対偶は
対偶:努力しなければモーツァルトのような天才にはなれない

ここまでしか言えない。
努力は否定しない。でも、努力が成功を担保する、っていうのは間違い。
これはよくある若者の心理的甘えで、「スタートに必要な条件を揃える行為を、ゴールへの約束だと誰かに言って欲しい」という願望を垂れ流しているに過ぎない。

山口さんは、「正しい努力」を勧める。
1。努力の方向と、自分の適性が一致している。
2。技術に結びつく正しいやり方になっている。
この2つが無ければ徒労に終わる。

日本の教育が美徳とする「一所懸命」という価値観は、場合によっては意味のない筋トレになる。
「体験の質」「仕事の環境」が整ってなければ成長、成功できない。この「場」を得るためにポジショニングを変化させることがニュータイプの成長スキームである。ノマドワーキングにも通じるかもしれない。

これについて肯定的な本を読みたければ、「13歳からの世界征服」中田考(なかたこう)が最近では面白かった。
逆に、けちょんけちょんのして欲しければ「だから日本はズレている」古市憲寿(ふるいちのりとし)が面白い。
参考までに。

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フランケンのポエム説教

・流浪の勧め?
この本では、あらゆる意味で1つのことを死ぬまで、みたいな硬化したキャリアプランを危険だって教えてる。

『「腰が据わらない 」 「節操がない 」 「一貫性がない 」と批判的に揶揄されてきたような生き方 、つまり 、何が本業なのかはっきりしないままに複数の仕事に関わり 、節目ごとに仕事のポ ートフォリオを大きく組み替えていくようなキャリアを志向する』
のがニュータイプだと、そのフェノタイプを表現します。

これ、ここだけ読むとなんだかわからない人物像ですよね。極端に言えば、そんな人、西成あたりにいっぱいいるんじゃ無い?って気がしますが、そういうこと言ってるんじゃないんでしょう。
ここで大切なのは、「ジョブに不要とされて弾き出された結果としてジョブチェンジを繰り返さざるを得ない」という人物像では無いですよ。
「ジョブに対する優位性が本人にあり、本人がジョブを切り捨てて新しいキャリアを自分に加えていく」っていう強さが条件になってます。
そう考えると難しいですよね。

果たして、単純な転職を繰り返すだけの職業人生は、自分の有り様にプラスに働いているのか?
このラジオのリスナーのほとんどは医療者なわけですから、毎年毎年新しい職場に移動したり、大学院に行ってみたり、教員になったり辞めたりを繰り返すような人生を歩むわけです。あるいは開業して固定化された事業に自分を放り込むかどうかを迷ったりするわけです。

コネクティングドットの話にも通じるのですが、まずは自分がやりたいことを追求してみる。最初は、人の役に立つ、必要とされる小さな専門家になってみる。その小さな専門家になる過程で、マーケットのニーズにさらされて、自然と進むべき道が修正されていく。だから、結果的には、自分が当初描いた目標とは別の場所に着地するのです。その過程では、一貫性がない、節操がないというのは、「フットワークの軽さ、多様性を許容する柔軟性」といった強みに対する、コモディティからの愚痴であることに気付かされます。小さな小舟で大海原を進む。でも、人生の軸となるべき指針や哲学。ワンピースでいうところの海賊旗を掲げないといけない。進路は自由でもいいけど、海賊旗に掲げる哲学にはブレがあってはいけない。

・コモディティからの脱却
僕らが考えなければいけないのは、キャリアを複雑にするなんて即物的なことではなく、「自分の有り様を定義しない、誰からも定義されない」、この価値観を維持できるかどうかということに尽きるんだと思います。
誰かから定義された瞬間にあなたは「コモディティ」であり、コモディティである限り、「一緒の箱に突っ込まれた他のコモディティと一緒に、限界効用ゼロへ目掛けてダンピング競争をする」ことになるからです。

じゃあどうすれば?
そう思いますか。

それに答えを与えることができたとしたら、その瞬間にその答えはコモディティです。
そういうことなんですよ。
自分で考えないと。
それだけが自分の価値を担保します。
そのためには自分の価値観も日々アップデートが必要になるんです。

医療というものは基本的に「固定化された価値観を画一的に提供する」という行為に国が予算を切るという構造で成り立っています。
ですから、医療制度という枠組みからひきだされる常識っていうものは全て定義可能なコモディティになっていきます。
だからこそ、いろんな人に合わないとダメなんですよ。
同じ科でも違うグループ。
医療でも違う科。
違う国。
同じ国でも違う職種。
違う国の違う職種。

こういった人たちとつながることはとても大切です。
自分のキャリアの中でこういった人たちと、ビジネスパートナーとしてどうやって繋がっていくのか、それをマネージメントする。これができるようになったら一人前なのかな、と今の僕は思います。

今の若手医師たちの悩みって、「いったい今の時代、何をすればいいのか?」ということに尽きるんですよね。この道を進めば成功できるというレールが存在しない時代。でも、それは、必然であって、「これをやれば良い、この道を進めば良い」という道が示された途端にそれはコモディティに向かう、行進の第一歩になってしまうわけです。人生をいかにして生きるか?という正解のない課題と向き合うことこそが、人生最重要のタスクになるわけです。我々が今、哲学をテーマにラジオを作っているのも、ある意味必然なのであります。

具体的な話をすると、
業界、特に医療業界のほとんどのエラい人っていうのは、医療が持つ莫大な予算を振りかざして上から目線で周辺の世界を蹂躙してきました。
「分かりやすい価値」ってやつを無理やり提示させて、「それを買ってやる」みたいなことをやってきたんですよ。やってきたんです。
それって、目新しい自販機にコインを突っ込んで見たことないジュースを一本買った、みたいな繋がり方なんですよ。
全然有意義じゃない。
医療者が上からぶつけるWin-Win、実にふざけてるんですよ。「俺は金を出して欲しいものを手に入れた。お前は商品を売って金を得た。」あのね、自販機にジュースを並べた人間にとっては、このやりとりは大した価値のあるものじゃないんですよ。誰が買ってくれてもいいものをたまたまアンタが買った。それだけです。お互いに何も残るものはない。
賭けてもいいですが、あなた同じジュースが隣の自販機で10円安く売ってたら、そっちに金突っ込むでしょう?こんなのは単なる金のやり取りなんです。

・意味の抽出とビジョンの共有
僕らがやらなきゃいけないことは、この自販機に入ってるジュースを作っている人に会いに行って、どういう哲学でジュースを作っているのか、僕たちとどういうビジョンが共有できるのか、共有したビジョンからどういった事業を立ち上げることができるのか。
こうした活動を繰り返すことで、段々と自分の持つビジョンや常識が変化して、職業人としての枠組みが変化していく。
この変化が外部から観測すると「理解不能な流動的なキャリア」として認識されるっていうことなんですよ。
それがニュータイプってやつだと認識されるんでしょう。

目の前に提示されたわかりやすい課題を手当り次第解決してしまうのって、受験エリートにありがちなことですよね。今のお話は、まずは課題の定義を疑え?ということですね。

・ニュータイプはニューなのか?
僕はこの本はすごくためになる本だと断言できます。でも、一点だけ違和感を覚えるのは、果たして、この本で取り上げられるような「ニュータイプ」っていう人種は、取り上げられている「6つのメガトレンド」が初めて作り出した人物像なのか、っていう部分です。
昔からこういう訳のわかんない人達って、いたんですよ。
ニュータイプ。過去にも生息してました。古い地層から化石が発掘されています。ただ、今までこれらのよくわかんないオーパーツみたいな化石を分類する概念がなくて、ひとまとめに「変人」枠に突っ込まれてたということでしょうね。

この本の内容からちょっと逸脱するけど、いわゆるニュータイプって、オールドタイプより優れた才能かっていうと、ひょっとして違うんじゃないかな?って思う。
ただ単に「終末期の資本主義」にマッチした特性なんだろうってことだと思う。
この前、フィンランドに行ったんだけど、バイキングの時代はもうただひたすら動物的な強さが人間の価値だった訳でしょう?問題はすべて腕力で解決みたいな。その時代にはニュータイプは真っ先にぶち殺されてた可能性がある。

だから、僕の直感としては、オールドタイプにできてニュータイプにできないことっていうやつを切り分けてチームを作ることが、ここから先は大事になるんじゃないかな、って思うんですよ。
多分、ニュータイプって、問題を解決する能力があんまり高くない。興味ないから適さないんだよ。職場のルールに無頓着だったり、単純作業をため込んだり、そういうタイプかもしれないな、って思う。僕の周りのいわゆる天才たちをみてるとそう思う。

優劣ではなく、時代のトレンドにフィットした人材であることに価値がある。というのは重要な視点ですね。資本主義の定義からして、希少なものが価値を持つわけです。先程バーベル戦略のところでも述べましたが、医師というのは明らかに、プロブレムソルバーという働き方。それを自分の人生に100%当てはめるのではなく、10%くらいは、真逆に振りましょう。そうです。10%変人戦略です。

そういえば、私達の知り合いにも、PBP(パリブレストパリ)という4年に1回開催されるロードバイクのイベントに参加して、1200km完走した愛すべき変人がいますよね。彼の人生は、僕はすごく注目していて、真面目に医師の仕事を続けながらも、10%は変人として立ち振る舞う。まあ、本人は至って真面目に1200km完走しているのですが(笑)
こういう生き方、戦略は、これからの時代で輝くためのキーワードになると思っています。

この三年くらい、僕がいるチームでは奇しくもこの本でいうところのオールドタイプ向きな仕事と、ニュータイプ向きな仕事をきっちり分けて、お互い向いてない仕事を全くやらずに効率を上げるって言うハンドリングを試している。これがビッタリハマるんですよ。
アジェンダシェイパーは無尽蔵にアイデアとプロブレムを垂れ流す。プロブレムソルバーはこれらに最速の正解を与えて、プロジェクトとしてエフォートを注入する意味があるかどうかを算定する。
出来上がった提案を再びアジェンダシェイパーがプロジェクトプランを俯瞰して、よりニッチで奇抜なモデルを提案する。モデルを返されたプロブレムソルバーチームは外注を含めて最適なスキームを組み上げる。

これを僕らは学術、医療サービス、病院経営、機器開発販売に至るまであらゆる領域にアプライしてきた。
これは、いわゆるニュータイプジョブでもなんでもなくて、タレントのマネージメントの力。
はっきり言ってしまえば、ニュータイプって、多分単体では役に立たんし、ニュータイプ/オールドタイプ比率が大きくなる、つまりニュータイプが多くなると運用面が不安定になるだろう。僕の感覚では1:5〜10くらいが妥当なんじゃないかな、と思う。

このスキームには1つ限界があって、このやり方は仕事の枠組みを根底からバラバラにして、仕事に人を、じゃなくて人に合わせて仕事を組み替えていくことになっちゃうから、人事経営のイニシアチブを掌握してなきゃできない。会社組織であれば、少なくとも社長クラスをハンドリングできるポジションにいないと何もできないってことだよね。必ずトップダウン戦略になるので、ミドルマネジメントクラスがボトムアップでできる戦略じゃないってことです。
これは結構致命的。
下からやるなら強烈なレバレッジが必要。野心的な二代目社長をたぶらかすくらいの覚悟は必要です。
でも、できる。だから、やろう。

締めの言葉
冒頭で述べた、資本主義の脱構築の意味するところ。資本主義を共産主義にリプレースしてもうまく行かなかった。新しい時代への転換は、オールドタイプがかつて目指したような 「ファンファーレを伴ったシステムのリプレース 」によってなされるのではなく、誰もが気づかないうちに「人間の見方 」が変わることで起きます 。人それぞれの思考・行動様式が、オールドタイプのそれからニュータイプのそれへと変換することで 、新しい時代への転換が起きるのだ。