医師の新しい働き方

地方都市で継承開業するという選択肢

先日、オンラインサロン(医師のキャリア革命)で、ウェビナー(ウェブセミナー)を開催しました。
Withコロナの医師の働き方
というテーマで、勤務医、開業医の先生方から20分ほどの講演をしていただきました。

その中で、「地方都市で継承開業」というキーワードが興味深かったです。

私は地方都市に住んでいる勤務医ですが、周囲の勤務医が開業するパターンとして
40〜50歳ころまで勤務医を続けて
・実家(多くは父親)のクリニックを継承する
・土地を購入して、新しいクリニックを建設して新規開業する
という2つのパターンをイメージしていました。

外科(整形外科)医師の立場で周囲を見渡すと、40代〜50代でメスを置くタイミングの開業を考える先生が多い印象も持っています。

ただ、一つの疑問として、
「40〜50代で土地、建物、設備を新築するスタイルで、自分の世代で借金返済が完了できるのか?」
という疑問も生まれます。
今回新型コロナの影響で、高齢者の不要不急の受診抑制の問題や、そもそも日本の国民皆保険制度がいつまで持続するのか?
といった問題を考えると、多額の借金をして新規開業することのリスクは無視できません。

今回のウェビナーで
地方都市で継承開業する方法
という面白い話が、実際の開業医さん(後述する三浦先生)からありました。
これは、父子の継承開業ではなく、第三者からの継承開業になります。

継承開業という選択肢をそもそも持っていなかったので新鮮でした。
継承開業と聞くと、「古いクリニックを引き継いで開業するんでしょ?」というマイナスイメージをお持ちの先生もいらっしゃるかもしれません。
見落としてはいけない視点として、「古い医療設備を使っても、最新の設備を使っても請求できる保険点数は同じ」ということ。
例えば、15年前に購入した心電図の機械であっても、今年購入した心電図の機械であっても、請求できる保険点数は全く同じです。
そうであるのなら、継承したクリニックにある設備で、まだ5-10年使えるものは、そのまま使うのが合理的ですよね。
クリニックの経営が安定したら、新しい検査機器を購入したり、リースすればOK。

あと、継承開業の場合、他にもメリットがあり
・元々クリニックに通院されていた患者さんがそのまま自分の患者さん(顧客)になる
というものです。

新しくクリニック開業した場合、勤務医時代の患者さんをそのクリニックに紹介するのでなければ、患者さんを0から集客しなければなりません。
クリニックのローンを返済しながら、新しいクリニックのスタッフの人件費を支払いながら、患者さんが1日数人という期間を数ヶ月やりくりするのは、かなり精神的にきついそうです。
これが、継承開業の場合、集客しなくても、はじめから患者さんがいる状態からスタートできるというのはかなり大きなメリットです。

継承する科が異なる場合であれば、元々の院長先生に1年くらいの間、1週間に2〜3回外来してもらって、患者さんを徐々に引き継いでいく。
というのもありではないかと。
そうすれば、患者さんも安心されるでしょうし、「この患者さんは○○に注意して」みたいな申し送りを受けることも可能。

それと、継承開業の場合、比較的リーズナブルな価格(時に破格)でクリニックを継承できる可能性があります。
これは、継承先を考えている元院長の立場で考えてみると良いのですが、たとえばご自身が病気になってしまい、継承者がいなかったら、廃業するしか無い。。。
そうなると、自分だけでなく、クリニックで働くスタッフ、通院している患者さんの行き場がなくなってしまいます。
それなら、「売却の利益はでなくても、継承してくれる医師がいるなら、譲りたい」ということもあるでしょう。

第三者からの継承開業に関しては、
・少ない融資で開業できる(40〜50代以上の年齢の勤務医で、自分が働ける残りの期間が短いドクターが開業するのに向いている?)
・元々通院している患者さんをそのまま継承できるので、黒字化しやすい
みたいなメリットもありそうです。

田舎に住みたくないよ。というご意見もあるかもしれませんが、県庁所在地に住んで、クリニックまで毎日通勤するという選択肢もあります。
そもそも、自分が住みたい場所でクリニックを開業して、黒字化できるか?というのはなかなか難しい命題です。

あと、実際に勤務医から開業を考えている先生は、ぜひ、いきなりコンサルティング会社に相談して開業するのではなく、
実際の開業医の元で1年ほど修行させてもらうことをオススメします。
例えば、土曜日の午前中の外来を担当させてもらうとか。

今回とりあげさせていただいたのは、岡山県にあるみうら循環器内科クリニックです。
私も、1ヶ月に1度外来診療を担当させていただいていますが、めちゃくちゃ勉強になっています。
実際、みうら循環器内科で診療した今では、「自分が開業するなら、新規開業よりも継承開業だな」と考え方が180度変わりました。
クリニック内での人の動き、総合病院ではなくクリニックを受診される患者さんのニーズなどを知ることができますよ。
岡山県内で内科系クリニックの開業を考えておられる勤務医の先生がいらっしゃったら、みうら先生に相談してみても良いかもしれませんよ。

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今年は、新型コロナの影響で、大規模のオフ会が開催しにくいので、ウェビナー動画コンテンツを充実させていく所存。