医師の新しい働き方

アップサイドとダウンサイド のリスクについて

勤務医と開業医のダウンサイドリスクとは?

最近思うことですが、勤務医も開業医も、日本の社会保障制度の枠組みの中で働いているので、その違いは
・お金を生み出すand貯めることの効率性の違い
だけのような気がします。
当然、効率が良いのは開業医さんでしょう。
その理由として、節税、経費が使えたり、自分以外のスタッフを雇うことで人にレバレッジをかけることで、効率よく患者さんを診察できるから。
ただし、お金を借りて病院にだれも患者さんがこないと倒産するというリスクを抱えることになります。
勤務医は効率は悪い反面、真面目に病院で仕事をしているのであれば、解雇されるリスクは少ないでしょう(まあ田舎に飛ばされるリスクはありますが)
ただ、金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラントによると
勤務医E(人のために働く)
開業医S(自分のために働く)
という違いがあるだけです。

冒頭で述べたとおり、医療に関するお金の流れは、「ラーメンを作ってお客さんからお金をもらう」という資本主義のルールとは大きく異なっています。
医療サービスをうけた患者さんは、窓口で全額支払うわけではありませんから。
このルールの違いは、下記の音声コンテンツに詳しく解説されているので、若いうちにきちんと理解しておきましょう。
・なぜ勤務医は人並み以上に働いても、高度の専門性を身に着けても給料が増えないのか?
という疑問に対する回答が述べられています。

保険診療を行う医者というのは、
・給料、クリニックの売上 (いったん与えて)
・税金          (回収する)
に対して、国が大きな力で干渉することが許される構造になっています。
勤務医にどれくらいの給料を与えるか?開業医にどれくらいの利益を残すか?
税金としてどれくらい回収するか?
といったことは、自分には決められないので、お医者さんというのは公務員のような存在だと考えると良いと思います。
日本国と浮き沈みを共有しているということです。
小見出しにした、医師のダウンサイドリスクというのは、「日本の社会保障制度が次第に高度を保てなくなり、ついにはハードランディングすること」と言えるでしょう。

非対称のリスクをとることの合理性

お医者さんというのは、今のところ「給料(クリニックの売上)が安定している」ことがメリットです。
ただ、一つ問題があるとすれば、
人生100年時代
と言われるようになり、長い期間働かないといけない。ということです。
勤務医であれ、開業医であれ。
働いてお金を稼ぐ
という構造に依存しているうちは、「働かなくなったらお金が1円も入ってこなくなる」ということを意味します。
例えば、65歳まで勤務医を続けて、そこでハッピーリタイアして、それ以降は年金と蓄えた金融資産を使って生活すればよい。
というプランを描ける人がどれくらいいるでしょうか?
ところが、「不動産を複数所有しているから老後も家賃収入がある」みたいになれば、働き続けなくても大丈夫です。
(注)だから不動産を買おうという単純な話ではありませんが
つまり、お医者さんという職業が安定しているうちに、「金融資産投資をしたり、不動産投資をしたり、ビジネスモデルを所有したりして、リスクをとる方が合理的」といえます。
これは、リスクの非対称性を利用したもので、ニコラスタレブは、バーベル戦略として提唱しています。

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お医者さんは、どうしても普段の診療で
「患者さんのダウンサイドリスクを最小限にする」というの基本的な考え方になっています。
それは医療の現場においては最適ですが、
普段の生活の中で
挑戦は悪。失敗も悪。ダウンサイドリスクはゼロがいい。
となるとちょっと問題もあるかもしれません。
リスクというのは、上振れしたり、下振れする不確実性のことですから。
ぜったい下振れしないというのは、上振れもしないことを意味します。