医師のマイホーム購入の経済合理性について
マイホーム購入は、多額の借金をして不動産素人がおこなう不動産投資
1億円のビルを1棟購入することと、1億円のマイホームを購入することは、不動産投資の視点からすると、全く同じ行為である。
日本人は、株式投資や収益不動産投資は、リスクが高いからやらないという強固な価値観を持っている人が多いようです。しかし、なぜか、1億円のマイホームは長期ローンを組んで、平気で購入してしまいます。でも、ポイントに書いたように、1億円のビルを1棟購入することと、1億円のマイホームを購入することは、不動産投資の視点からすると、全く同じ行為です。購入した不動産を自分で使っているか、人のために貸し出しているかの違いだけです。不動産投資の成否をわけるものは、非常にシンプルで、買値と売値の差額(キャピタルゲイン)です。インカムゲイン(毎月の家賃収入)も重要ですが、売値が買値を大きく下回ってしまうと損失の回収は難しくなってしまいます。つまり、マイホームを購入する際に、自問すべきはただひとつ。自分が購入しようとしているマイホームは、購入した値段より高い値段で売却できるのか?という一点です。この答えがYesなら購入すれば良いと思います。しかし、不動産投資の素人が、初めて購入する不動産物件で、上記の質問にYesと答えることができるロジックを養護する人はあまりいないと思いますが。
資本主義の原則からマイホーム購入を考えてみる
資本主義のルールというのは、他人の利になることを提供して、その対価としてお金を受け取ることです。レンタカービジネスについて考えてみましょう。レンタカー会社の社長は、利益を出していますね(利益がでていないのであれば破産しています)。レンタカー会社は、たくさんの車を所有しており、それを人に貸し出して、みんなの役にたつことで、収益を得ています。しかし、レンタカー会社の社長が、所有している車を人に貸し出さず、自分や自分の家族が乗っているのであれば、会社としてなりたたないことは自明です。自分の資産を投資して、車を買い、それを人々に貸して役立ててもらう。その見返りとして収益を得るというのがビジネスの基本です。
マイホーム購入とビルの1棟買いの違いは、購入した不動産を自分のために使うか、人のために使う(貸し出す)かという違いがあります。金持ち父さん貧乏父さんの書籍の中で、ロバート・キヨサキは、自分のポケットからお金をうばうものを負債と定義しています。自分のためにしか価値を生み出さないマイホームというのは、家賃収入をもらうことができず、ローンの金利、固定資産税というお金を自分のポケットから奪うため、負債として定義されます。
融資の引き出しやすさが仇(あだ)となる
マイホーム購入とビルの1棟買いの違いは融資の引き出しやすです。
マイホーム 融資の基準が非常にあまい
ビルの1棟買い 融資の基準が厳しい
マイホームを購入する際、銀行が考えることは、「この人は、ローンを数十年支払い続けることができるか?」という一点のみです。そのマイホームの資産価値が数十年後にゼロになろうがしったことではありません。マイホームのローンを簡単に放棄する人はいませんから、個人の属性(サラリーマン、公務員がベスト。)が良く、ある程度の頭金が支払えるのであれば、1億円のマイホーム購入も可能でしょう。
しかし、収益不動産となると話が別です。個人の属性も重要ですが、その不動産を人に貸し出した際に、空室がでないか?ビルの現在の資産価値、将来の資産価値はどのくらいあるのか?ということを客観的に審査されます。
もし、大学を卒業したばかりでビジネス経験ゼロの若者が、「新しいインターネットサービスを作ったので、1億円投資してください」と銀行に相談したら、鼻で笑われて相手にもされないでしょう。その理由は、ビジネス経験のない若者に貸した1億円を回収できる可能性が低いからです。しかし、マイホームは不動産投資初心者(最初の買い物は大抵失敗します)に対して、融資の基準が非常に甘い状態で多額の資金を借り入れできてしまいます。マイホームを購入する人は、不動産素人です。その不動産素人が最初のビジネス(不動産投資)で容易に1億円調達できてしまう点に、私は恐怖を感じずにはいられません。