医師の残業代・無給医問題

無給医、医師のやりがい搾取の問題について

今回の記事は、医学生向けです。医師という仕事のやりがいについて、理解しておき、やりがい搾取のターゲットにならないための心がけについても記事にしてみました。

人に心から感謝される仕事。お金に置き換えられない価値がある。

日本の急性期医療を支える医師の労働環境は、かなり厳しい状況にあります。365日主治医制&急患対応というのは、正直な話、1年中完全に心が休まる日は一日もありません。しかし、そのような医師を支えているのは、人に心から感謝される仕事であり、お金に置き換えられない価値を実感できる仕事だということです。日本の急性期医療を支えている医師で、お金儲けをだけを考えている医師は少数派だと思います。むしろ効率的にお金儲けをするのなら、急性期病院には残らないはずです。医学生のみなさんも、医師になったら、手術やICU管理で休みのとれない心臓外科医や脳神経外科医を目にする機会があると思います。そのような献身的な医師達により、日本の急性期医療が支えられているのです。


無給医、やりがい搾取の問題

しかし、残念なことに、そのような善意を悪用する労働環境が日本の医療の中に存在しています。大学病院の無給医の問題や正当な残業代を支払わない(労働時間のチェックを意図的に行っていない)病院というのはたくさんあります。日本全体として、社会保障費が増大しており、医療費の抑制(医師人件費の抑制)圧力が病院に対して加わるため、病院が黒字化を目指す場合、どうしても、立場の弱い医師にしわ寄せがきます。専門医を取るまでの期間、自分の技術を向上させる時期には、そのようなブラックな環境で働くこともある程度やむを得ない思います。しかし、30代、40代、下手すると50代までそのような労働環境に身をおいてしまうと、異常な労働環境が当たり前と感じるようになってしまいます。組織に自浄作用を求めても改善される可能性は限りなく低いです。必要なスキルがある程度身についたら、そのような環境からは脱出するのが懸命でしょう。自分の身を守れるのは自分だけですから。