勤め人と自営業者では努力のベクトルが正反対
勤務医(以下勤め人)とスモールビジネスのオーナー(以下自営業者)とでは、働く際のベクトルがほぼ正反対を向いています。そのため、勤め人が、スモールビジネスをやろうとしても、最初は全く足が動かせません。
勤め人は組織の内部での出世、自分の技術向上にベクトルが向かう
自営業者は人に購入してもらえる商品、サービスを作って必要な人に届ける
勤め人というのは、ベクトルが全て自分の方に向いています。自分が組織で出世するためには何をすればいいか?自分の技術を向上するために何をすれば良いか?という風な感じです。それに対して、自営業者のベクトルは外に向かいます。シングルマザーでも住めるように、築古戸建てをリフォームして、安い値段で貸し出そうという感じです。小商いの場合は、力を注ぐベクトルが顧客に向いている点がポイントです。これを、勤め人のマインドでしてしまうと、豪華な家をとりあえず建ててみた、良いものを作ったのだから、みんな借りてくれるだろう。というふうな感じでビジネスに参戦してしまいます。でも、高い技術力、完成度の高い商品が必ずしも、売れるわけではありません。あくまで、必要としている人がいることと、その人が購入できるように届けるところまでセットで考えなければなりません。
同調するか個性を強調するか?
勤め人は同調する
自営業者は個性を主張する
勤め人は、組織の内部での立ち振舞として、組織の内部で同調圧力にさらされています。組織の内部で、目立った行動をすると、たいていマイナス評価を受けてしまうので、どうしても同調する方向で行動してしまいます。飲み会への参加、医局行事や医局旅行への参加といったものを考えるとわかりやすいですね。それらを全て欠席して、自分のビジネスを作ろうとすると、非常に冷たい視線にさらされます。
一方で、自営業者のマインドは、いかにして、自分のオリジナル商品を作り、周囲と異なる個性を発揮するか?がポイントになります。個性のない商品は、コモディティ化してしまい、最終的には原価に限りなく近い価格で売買されてしまいます。ですが、自分にしかないサービス、商品であれば、ブルーオーシャンの中で、自分の言い値で取引できます。同調するか、個性を発揮するか?というのも大きな違いですね。
報酬に対する考え方
勤め人は働いた時間に応じた報酬
自営業者は働いた時間と報酬は無関係
勤め人は、時給や年俸で報酬を計算します。自分が、アルバイトで外来をしたら、○万円、自分の技術があったら年俸○千万円みたいな感じです。働いたら、その時間に応じた報酬が得られると考えています。これは、自分の労働力を提供することで給料を得ているので、自分が提供した労働時間に対する対価を請求する発想です。
自営業者は、全くルールが異なり、何時間勉強して、働いても報酬がゼロ、もしくはマイナスになることもあります。例えば、不動産を購入するために勉強している時間、不動産を視察している時間、大家会に参加している時間は、収入としたらゼロもしくはマイナスです。これが、勤め人が最も理解できない部分だと思います。最初に、損を掘って、あとから回収するという考えともいえます。その後の収入も、自分が努力するベクトルを間違うと、いくら働いても収入はゼロのままです。