空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?(日記)

騙されたと思って、まずはビジネスを回せ!

フランケン
フランケン
文章完成や
博士
博士
きみ、絶対人間だろ?
フランケン
フランケン
いえいえ、ただの空飛ぶロボット、フランケンです。

医師のスモールビジネスのために明日からやるべきこと

それでは、乾電池を脱却するための医師のキャリアをどうやって形成するか?明日からやるべきことを考えてみよう。

とにかく時間を作れ

まずは原資が必要だ。医師の場合、原資とは資金ではなく、時間だ。時間が確保できなければ何も始まらない。とはいえ自由になる時間を確保するのは 相当に難易度が高い。例えば、通常業務と全く関係ないビジネスを立ち上げようとすると、土日に加えて平日に1.5日くらいの時間的裁量が必要になる。役所や銀行などの公共サービスや、ビジネスミーティングなど、一泊の出張を考えるとどうしても必要だ。この1.5日は連続していて週末に繋がっているのがベストだ。金曜夜から火曜昼まで連続した時間が取れれば大体なんでもできる。

作れなければ使い方を変えろ

まとまった時間を得ることは勤務医にはちょっと厳しいので、ビジネスを通常業務にダブらせると時間を作りやすくなる。臨床に直結したサービス、例えば何かの測定機器や管理機材などをワンオフで受注生産するなどで、一見通常業務をしている体でビジネスの側面をダブらせる。研究用のデータ処理にアイデアを加えて、共同研究の研究費を提供してもらう。時間は増えないが、使い方を変えることができれば、増えたのと同じ効果が得られる。

「無駄な時間」を再定義しろ

もう1つは、無駄な時間を使わないことだ。これは簡単なようで難しい。ここで言う無駄な時間とは、乾電池としての労働にあてる時間のことだ。キャリア形成に直結しない案件は質を求めずスピードを追求するべきだ。コツは、最低ラインを見極めることだ。100点満点で許容レベルが60点であれば、キッチリと61点を最短で取りに行く。評価する側は、仕事がクリアされているかどうかを見ているだけで、完成度は全く気にしていない。これは管理する立場になれば理解できる。質が問われる仕事を下に任すことはないのだ。そして、終わった仕事は締め切りまで寝かせておく。早く処理してしまうと次が来るだけだ。やらせる立場としては、誰にどのくらい雑用を振ったかなんて全く覚えていない。当然、クリアされていればいつ終わったかも見ていない。

断るべき仕事の断り方

断れる仕事は断る。これは慣れるまで結構難しい。ただし、断れる類の仕事であれば意外と簡単に断れる、というか、相手に引っ込めさせることができる。コツは、即答しないことだ。悩む振りでいい。ちょっと困った顔をして、ただうーん、と言ってみよう。そして相手が何かいうまで何も言わない。どうでもいい仕事を頼む側は、それがどうでもいい仕事で、押し付ける相手にちょっと引け目を感じてすらいる。なので、その仕事を持ちかけたときにイエス以外の返事が返ってくると条件を下げてしまう。ほとんどの場合、考えておいてくれ、と言って他を当たる。言われないときはこちらから、考えさせてください、と言って逃げる。後日、例の件考えてくれたか?という展開にはまずならない。先方も断るのが下手な別のカモに押し付けてしまっているはずだ。先方がそれもできないような人間ならば、断ってもやはり実害はない。今度こそきっぱり断ってしまおう。おそらく本人がやるか、仕事自体をなかったことにしてしまうだろう。

額面通りに仕事を受けるな

次に、引き受ける仕事はキャリア形成に結び付けられるように意味合いを変えてしまう。受け入れるべき仕事とは、組織にとって大事な仕事ではなく、自分の属性によって発生した仕事だ。例えば、あなただけが力学試験機を扱える、というような状況で強度試験の予算がつくとすれば、それはあなたの属性が招き入れた仕事だ。そういう類の仕事は一見関係ないようであなたのキャリアを強化することが多い。引き受けよう。ただし、そのまま引き受けるのは絶対にダメだ。与えられた予算や人的資源の中で、将来何かのビジネスを構成するであろうパーツを作り上げる仕事に変えてしまおう。一輪車を作れと言われたら、無くてもいいブレーキ付きの一輪車を開発しよう。このブレーキのノウハウは将来の自転車ビジネスに活かすのだ。そうすれば、通常業務があなたに開発の為の時間・予算・人的資源を供給してくれるのと同義になる。私はこれを雑用のスポンサー化といっている。スポンサー様は喜んで一輪車を受領してくれる。ブレーキの意味なんて気にすることもない。それはあなたの利益と考えれば良い。

最初の一回転が一番重い

色々な工夫で時間さえ捻出できれば、資本はあるのだからビジネスは始められる。あとはそれが成り立つかどうかだけだ。最初のビジネスはどんなに小さなものでもいい。相手の望む物を聞き出し、価値を作り出して対価を受け取る。このプロセスが成立してさえいれば、対価は1円でも構わない。収支がプラスで終わる経済活動を自分で一回転させることができれば、あとは規模の大小にすぎない。この規模を大きくしていくにはまた独特の技術が必要になってくるが、経験と共に見えてくるものもあるだろう。大切なのは、今のあなたが理解できるステージのビジネスをまずは始めるということだ。車輪を回すときは静止摩擦係数が最も大きい。一度走り始めれば、ちょっとづつ漕いでいくだけでスピードも慣性も大きくなるのだ。騙されたと思って、まずは回せ

医師のサイドビジネスについての後ろめたさ?

最後に、医師のキャリアデザインとして「ビジネスブランチを個人が所有すること」についての抵抗感を払拭して差し上げる。
真面目な医師の皆さんは、医師が純粋な医学以外の活動にうつつを抜かすことに強烈な抵抗感があるに違いない。「医師は患者のために最善の医療を行い、そのために最大限努力しなければならない」。そうありたいと思うのは勝手だが、そう願うことと、それを貫くことができることの間には一切の関係がない。この国の医療財源は枯渇している。医学的に最善の治療を全ての患者に施すことはもう出来ないのだ。金にならない治療から削られていく。儲からない医療を行う行為は必ず外圧に晒されるようになる。
純粋医学は財源など御構い無しに技術の進化を追求する。このスピードは「最善の医療」と「提供可能な医療」のギャップを加速するだろう。効果のある治療が禁止されることは有り得ない。従って、最善の治療は実施しても儲からないという位置に置かれていくだろう。最善の医療イコール減収という図式になった時、儲からない治療を行う医師の自由が尊重される可能性は皆無だ。好きなように治療を選択するには病院の圧力を屁とも思わない自由なポジションが不可欠になる。そして、最善の治療イコール損失というステージに移行した時に、その領域の保険医療は質的に崩壊する。その時、最後まで最善の医療とやらを提供し続けることができるのは、おそらく綺麗事をぬかしていた乾電池連中ではないだろう。