俺の屍を越えてゆけ(日記)

働いたら給料がもらえるというのは勤め人の特権

博士
博士
人生には赤字を掘り続ける期間があるというお話

開業医が儲けすぎという話題

しばしば、勤務医の間で、「○○クリニックはめちゃくちゃ儲けているらしい。いいよなあ」という話題を聞くことがあります。大繁盛しているクリニックの現在の売上を聞くと、うらやましい気持ちになりますね。ですが、新規開業する際には、数千万円から場合によっては、億を超える借金を背負う必要があると言われています。勤務医の場合、新しく赴任した病院で、集客に困ることは経験上あまりないと思いますが、開業医の場合は、新規開業の場合、最初の数ヵ月は患者さんが、1日数人ということもありえます。もちろん、その間もローンの返済、職員の人件費の支払は続きます。つまり、開業の準備期間から開業後数ヶ月は、大きな赤字を掘る期間があるということです。これは、勤務医には見過ごされやすい事象だと思いますが、自営業者は、相当に大きなリスクをとって船出するということは知っておくべきでしょう。

勤め人と自営業者の違い

勤め人(勤務医)をしていると、寝当直であってもお金をもらえます。1ヵ月仕事をすれば、必ず一定の給料を支給してもらえます。でも、実は働いたぶんだけ、確実にお金がもらえるというのは、勤め人の大きな特権です。成果と給料があまり連動しないことも多いでしょう。先程の開業医の場合であれば、開業した場所が悪かったら、毎日外来にでて仕事をしたとしても、患者数が非常に少なく、人件費を差し引くと赤字という自体も十分に考えられます(もちろん、どこかの時点で損益分岐点を超えるはずです。超えられなければもちろん廃業です)。
このような背景の違いがあり、どうしても勤め人は

○時間(○日)働いたら○万円の給料
自分が○時間(○日)働いたら、○万円の給料をもらって当たり前(たとえ寝当直であったとしても)

という考えに陥りやすくなります。
これが、足かせとなり、スモールビジネスをしようとしたときに、「ビジネスを軌道に乗せるためには、赤字を掘る期間が必要」という考え(リスク)を受け入れられなくなってしまいます。医師としてバイトをしたら、当直で○万円。でも、ブログを書いたとしても、最初の数カ月はアクセスがわずかで収入もゼロ(数百円の場合もある)。そんなことやっても意味ないと考えてしまいがちですね。
ですが、働いて○万円という思考を続けている限り、自分の労働力(時間)をお金に変えるというビジネスモデルから脱却することができません。もちろん、勤め人という強い属性(安定した給料)は持ち続けるべきだと思いますが、その安定が担保されているうちに、先行投資として、赤字を掘るビジネスモデル(もちろん損失を自分でカバーできる範囲内で)にもチャレンジしてみた方が良いかもしれません。