After COVID-19の世界

リモートワークは大企業勤め人にとって儚い楽園

博士
博士
新型コロナウイルス(COVID-19)は、カードゲームの大富豪でいうところの「革命」。BeforeからAfter COVID-19で資本主義ルールは一瞬で変更になってしまいました。

サウザーラジオ神回

僕は、サウザーさんをアメブロ時代からフォローしていています。Voicyのサウザーラジオ、白熱教室を長くチェックしていることもあり、サウザーさんの生い立ちについて、断片的な知識を持っています。
確か以前、「大卒〜就職のタイミングでリーマン・ショックや東日本大震災があって企業が不景気で大変だった」という内容をお話されていたと記憶しています。
その後、マルクス経済学と金持ち父さん貧乏父さんを資本主義ゲームのルールと位置づけて、勤め人からニートを経て、資本家への道を歩むことになります。
そして、今回は、ラーメン屋開業クラウドファンディングが大盛況で、まさに今からリアルビジネスとしてラーメン屋開業というタイミングで、新コロさんが大暴れして、資本主義のルールに大きな変更をもたらしました。

つまり、サウザーさんは、勤め人を始める際に経済不況という荒波にあい、資本家(ビジネスオーナー)として船出する際にCOVID-19という突如出現したラスボスと戦うという修羅場を経験していることになります。

今回紹介したサウザーラジオの中でも、「多くの資本家(ビジネスモデルを所有するビジネスオーナー)が、新コロの影響を直接くらって即死したり、そうでなくても業火に焼かれるような悲惨な状態にある」と繰り返し語られていました。これは、私の知る開業医さん、個人飲食店のオーナーさんなどから流れてくるお話と、同じような印象を持ちました。

それでも、「資本家は業火に焼かれながら、なんとか生き延びる。生き延びた人は、修羅場をくぐり抜けて格段に強い者へと生まれ変わる」と語ります。そのような修羅場をくぐり抜けた資本家が、次の時代を切り開くことになるのでしょう。

リモートワークに対応できない企業の淘汰

残念ながら、COVID-19に怯える日々は、楽観的に考えても数年続くと思います。私は、QuotomyとDeepL(機械翻訳)を使って、毎日最新のCOVID-19論文をチェックして、興味のある論文をQuotomyにキュレーションする習慣を続けています。世界中の医学研究者たちが、ワクチンや既存の抗ウイルス薬(たとえばエボラウイルスに対して創薬されたもの)の適応拡大、回復者血漿を用いた治療など使って、COVID-19に対応する治療法を模索しており、希望の光は見えはじめています。ただ、COVID-19終息のキーになるワクチンの開発、実用化となると数年はかかるのではないでしょうか。

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医療崩壊を防ぐために、リモートワーク推進を!!という掛け声は、日本だけではありません。世界中で同時に発信されている最重要メッセージです。
After COVID-19の世界では、リモートワークは日本だけではなく、世界のスタンダードになることは間違いありません

そんな中で、「印鑑押すために出社しないと仕事がまわらない」とか「業務のやり取りは職場のFAXを使うことになっているから」みたいな企業は、リモートワークにシフトするか、世界の標準からあっという間に取り残されるかの二者択一です。

ここで、COVID-19とリモートワークの導入、その後の社会について、面白い記事を書いている方がいたので、紹介します。ぜひご一読を。

リモートワークが標準化されたあとに勤め人を襲う津波

冒頭で紹介したサウザーラジオの中では、「しばらくは、大企業の勤め人にとって、天国のような時間がおとずれる。リモートワークでラクラクお仕事。給料もきちんと振り込まれる。」しかし、その後に大きな津波がくることを予言されています。

マルクス経済学が思考のベースにあるサウザーさんは、「給料は労働力再生産のために必要な最小限のコスト(必要経費)である。そのため、リモートワークで化粧が不要、通勤が不要、飲み会がなくなる」となれば、労働者は虚業から開放されて、今まで以上に楽に仕事ができるようになると語ります(はかない楽園状態)。ただ、業務の効率化により、労働力再生産のコストが下がるということは、給料は将来的には大きく下げられることが宿命。もしくは、現在の給料を維持するためには、5人の労働者のうち1番優秀な1人を残して、あとは解雇。その1人が、リモートワークをフル稼働しながら、生産性をアップさせて5人分の仕事をこなすみたいな世界が容易に想像できます。

そんなことわかっているよ。でも
日本の企業は、「簡単に労働者を解雇できないから心配ないよ!」という方もいるかもしれません。
過去の日本はそうでしたが、今後は状況が大きく変化しますよ。

終身雇用の終わりが意味するもの

少し話が脱線しますが、昨年から、「大企業であってもサラリーマンの終身雇用を維持することは今後は不可能」とか「同一労働同一賃金」みたいな話題が急に増え始めましたよね。
この背景には、「選挙権をたくさん持っていた団塊の世代が概ね引退した」ことが関与しています。
団塊の世代の関心は、かつては「終身雇用の維持」でしたが、今後は、「年金や医療といった社会保障の維持」へとシフトしています。

団塊の世代とそのさらに上の世代の関心が、社会保障の維持に流れるため、「労働者の雇用を守ることが最優先」という政治的関心を持つ人の数が相対的に少なくなります。

つまり、「終身雇用」という日本独自の習慣を取りやめにして、正規雇用と非正規雇用という身分差別を撤廃する。そしてグローバルスタンダードである「同一労働同一賃金」と「企業が業績に応じて、雇用者を柔軟に金銭解雇できる制度に移行する(必要な産業に人が回るような仕組みをつくる)」可能性が非常に高くなっています。

そこに、COVID-19による企業の業績悪化が加われば、「未曾有の経営難。やむをえず、金銭解雇」という企業はこれから、増加することは間違いないでしょう。そして、図らずも1ヶ月を超える外出制限によって、半強制的にリモートワークが推進され、「リモートワークでも収益が維持できることが証明」されたら、5人の労働者のうち1番優秀な1人を残して、あとは解雇という未来も現実味を帯びてきます。

今まで、「俺は職場に不可欠な存在!」という仕事している感アピール、社内の(生産性の低い)会議を取り仕切って仕事している感を演出していた方。残念ながら、リモートワークによって、会社は「どの社員がどれくらいのアウトプットをしているか?」をデジタルデータから一瞬で把握することができるようになりました。いわゆる穴をほって埋めるみたいな虚業から給料を得ていた人にとっては、「あの人いなくても全く業務に支障ないね」とみんなが理解してしまうようになるでしょう。

リモートワークが当たり前になった世界

ここから先は、さらに厳しい世界が待ち受けています。
リモートワークの先にあるのは、ホワイトカラーがグローバル化により発展途上国の人々や、ホワイトカラーロボットと競合する未来です。

以下、私が最近読んだGLOBOTICS(グロボティクス) グローバル化+ロボット化がもたらす大激変のツイートをごらんください。気になったフレーズを列挙しています。

ツイッター記事をクリックしていただき、「このスレッドを表示」を押してもらえると、私の書いたコメントが時系列で表示されます。

テレコミューティング(情報通信技術を利用した在宅勤務)がグローバル化し、テレマイグレーション(情報通信技術を利用した遠隔移民)という現象が起こっている

google翻訳の精度を上回るDeepLを使ってみると、「あ、これはもう、あっというまに、テキストのやり取りに関しては、タイムラグなしで多言語の翻訳をストレスなくやり取りできるようになるわ」と実感します。

ホワイトカラー・ロボットであるAmelia(アメリア)はスウェーデンの銀行SEBのオンラインと電話の相談窓口で働いている。Ameliaは、ロンドンやチューリッヒのUBS銀行でも働いている。しかも、300ページのマニュアルを30秒で暗記し、20ヵ国語を話し、数千本の通話を同時に処理できる。

本書のサマリーは、今後、国内のホワイトカラー労働者は、テレコミーティングによって、世界中に住むテレマイグレーションとの競争にさらされる。それだけに終わらず、次はホワイトカラーロボット(AIを駆使したボットなど)との競争にさらされる。

ロボットで多くの仕事はなくなるが、職業はなくならない。ロボットは、あなたの業務(タスク)の一部は代替できるが、全部は代替できない。つまり、あなたの生産性が上がる。そして、あなたのような仕事をしている人は少なくて済む、ということでもある。

ここまでの記事を読んでいただいた上で、冒頭で紹介したサウザーラジオを聞いていただけたら、3年後、5年後の世界を予測する重要な示唆が得られると思います。