成功には2種類ある
成功には2種類あります。勤務医の働き方を例にして考えてみましょう。
勤務医の成功パターン
勤務医の働き方の特徴
1)成功の平均的な期待値が高い
2)期待値以上に成功した場合の報酬はそこそこ
3)失敗した時の損失が破滅的
勤務医の働き方というのは、少々変わり者であっても安定した収入が期待できることが特徴です。これが医学部人気の理由ですね。かなり個性的な医師であっても、安定した給料がもらえます。しかし、勤務医として大成功した場合(例えば教授)であっても、成功報酬は、そこそこ。成功報酬はリニア(linear:直線の1次関数)のグラフに表されます。欠点というのは、本人が想定しないマイナスイベント(ブラック・スワン)に出くわすと、壊滅的なダメージをおうということです。例えば、日本の皆保険制度が崩壊する、医師過剰時代に突入して、現在の弁護士のような状態になる、病気で仕事ができなくなるなど。
成功が青天井の働き方を組み合わせる
ナシーム・ニコラス・タレブは、反脆弱性という本の中で、Antifragile(反脆弱性)という概念を提唱しています。勤務医のような安定した働き方に、もう一つの働き方を付け加えることで、職業に安定性をもたらすというアイディアです。もう一つの成功パターンの特徴を紹介しましょう。
成功が青天井の働き方
1)平均的な期待値は低め(時にマイナス)
2)失敗した時の損失が限定的
3)本人も予想しないような成功した時の報酬が青天井
B級映画の作成を例に考えてみましょう。B級映画というのは、基本的には鳴かず飛ばずの結果に終わります。成功報酬の期待値は非常に低く、時にマイナスのこともあるでしょう。しかし、失敗した時の損失というのも限定的です(低予算で作成されるため)。しかし、本人も予想しないような成功パターンにはまると、成功報酬が青天井になります。カメラを止めるな!というB級映画が、世界的な大ヒットした現象が象徴的です。この場合の成功報酬は、ログスケール(log scale:指数関数)で跳ね上がるため、成功した場合の報酬が、10倍、100倍、1000倍と増加するのです。
Twitterも、この成功パターンに該当します。twitterを始めた当初は、いくらつぶやいても、周囲の反応はほぼゼロです。しかし、Twitterをやることで多少の時間は失われますが、損失は限定的です。そして、ある程度フォロワーが増えてきた状態で、思わぬツイートが、リツイート(RT)されて、拡散され始めると、10倍、100倍というスピードで情報が拡散していくのです。これを医師のセルフブランディングに活かすというのは、非常に面白いアイディアだと思います。
2つの働き方を組み合わせるのが最強
ここでご紹介した2つの働き方は、組み合わせることで相互の弱点を補完してくれます。勤務医の働き方は、安定した収入が得られる反面、成功報酬もそこそこです。一方で、スモールビジネスやTwitterは、成功の期待値が低い反面、失敗した場合の損失は限定的で、成功が青天井。医師は、安定した報酬が得られる職業であるからこそ、様々な冒険(スモールビジネス、Twitterを使ったセルフブランディング)をすることで、予期せぬ成功を掴むことができる可能性を高めることが可能になるのです。
AntiFragileの解説動画作ってみました!
Anti-Fragile from sugimovic on Vimeo